親友は異世界人! | ナノ
予見は当たりそうです



『猪崎、お疲れ様でした』


見るからにぐったりしている猪崎に、今買ってきた午前の紅茶を差し出す


「……ストレートが良い」

『えぇ〜。レモンも美味しいじゃん』

「んー……まぁな。とりあえず、サンキュ」

『何それ。どっちに?』

「両方にー」

『クスクス…どういたしましてー』


場所は図書室
猪崎も私も、実は図書委員に所属している

猪崎はその美しすぎる顔で司書さんをたぶらかし、図書室のスペアキーを貰っていた
その事実が発覚してからは此処は私達の絶好のサボり場

てか、サボりとか非行の一歩目だよね
私は初めてのサボりの時半泣きだったよ
先生に見つかったらどうしよう……って

この時も、本当に猪崎には迷惑掛けたなぁー


「あ゙ー戻りたくねぇ」

『私と猪崎が付き合ってるって思わせとけば、多分大丈夫だよ』

「なら、名前で呼び合わないとな」

『だね。お互いの教室を頻繁に訪ねたり、さ』

「めんどい」

『面倒か、絡まれるか……二つに一つ』

「クッ……究極の二択」

『あの女の子と私を天秤にかけるの?』

「………仕事と私、どっちが大事?みたいな感じに言うな」

『…ッ!!そんなッ!!氷皇にとって私はあの女の子と同じくらいの価値しかないのね…っ!!!』

「だから悪乗りすんなって。お前を取るからさ」

『あはは。ごめーん』


皆が授業を受けているのに私達は二人でのんびり
こっそりと隠してある漫画を読んだり、図書室のパソコンをネットに繋いだり、隠し持っていたゲームをやったり

図書室には内側から鍵をかけたから先生が探しに来る心配もない

ここだけ世界から切り離されたような錯覚に陥ってしまいそうだ


『そーいえばさ』

「…ん?」

『あの転入生の女の子、マネになりそうだよね』

「《なりそう》じゃねぇ。《なる》んだよ」

『断定なの…?』

「そ。断定」

『……そっかぁー。あの子嫌だな。撫子さんは悪気がある訳じゃないし、素だし、いい子だから良いんだけど……いや、良くないけど
あの子…ぶりっ子っぽいじゃん。仕事押し付けられそうだなー』

「…一瞬見ただけでそこまで分かったのかよ」

『いかにも イケメン好きですー な雰囲気出してたじゃん。分かんない方がおかしいって』

「いや…お前の観察力がずば抜けて凄いんだよ」

『観察力とか要らないんだけど』

「ま、何かあったら言えよ。今回助けてもらったしな」

『うん…ありがとう、氷皇』

「どういたしまして、麗」


なんだか名前を呼び合うのがくすぐったくて、二人で顔を見合わせて笑った
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