親友は異世界人! | ナノ
主役級と会いました



STが終わってすぐダッシュ
猪崎のクラスに着いたけど、まだ先生が中にいるみたい。早すぎたかな


ガラッ


「お、佐久間。どうした」

『ちょっと呼び出されたので』


丁度先生が出てきた
先生が開けたドアにするりと体を滑り込ませる

クラスの中は異様だった

二つの大きな人間団子……もとい人の塊
片方には男。もう片方には女

そりゃもうハッキリと別れている

私の目的の猪崎といえば、仁王と丸井と一緒に男ばっかの塊の中にいた


『猪崎ぃー』


流石に塊に突っ込んでく勇気はなくて
小さな声で名前を呼んだ

蚊の鳴くような小さな声だったのに、猪崎は気づいて、こっちに視線を向けてくれた
うわ、運命感じちゃう……なんてね

塊から出てこないまま口パクする猪崎に眉をしかめる
塊から出てこいっつーの

あぁん?


た す け て ……?


…何から


て ん ゆー せ い あ あ ……?


………???


【てんゆうせい】ってなんだろ
【ああ】って…?


うーん……
口パク読み取るの苦手なんだよねー
これでも前よりマシになったんだけど

…今度練習しようかな

悶々と考えるけどサッパリ意味が分からない
気づいてくれたのに意志疎通が出来ないという罠。まいった

猪崎は今までに無いくらい切羽詰まった顔してるから助けたいんだけど

次の瞬間、猪崎に向けていた視線がある一点に固定された
猪崎の隣。猪崎に腕を絡ませてにこやかに仁王と丸井に話しかけている見知らぬ女の子


てんゆうせいああ→転入生から


あぁ…そういうこと……

簡単に言えば、あの女の子は無類のイケメン好き
それで標的にされたのが猪崎、仁王、丸井の三人ってことね

仁王と丸井はまるで撫子さんに接するみたいに女の子に接してる
……なんてこった、マネージャーになりそうな予感ー


あ、早く猪崎助けなきゃ


『氷皇ー!!』


……初めて猪崎の名前呼んだかも

猪崎の本名は猪崎氷皇(イザキ ヒオウ)
凄い名前だよねー
しかも猪崎は名前負けしていないという……ここまで来ると、尊敬しちゃうな

多分、あの女の子にはこれが1番効くんじゃないかなー
私が猪崎の特別…つまり彼女だと認識されれば……
わざわざ彼女持ちにまでは手を出さないでしょ


「麗ッ!!!!」


猪崎は女の子の腕を振りほどき、男の子を掻き分けてこっちに走ってきた

私のとこに着くなり、きつく私を抱きしめる
私も緩く腕を回した


『大丈夫?猪崎』

「おう。何とかな」

『次、サボろっか』

「あぁ。サンキュ」


そのままコソコソと他人に聞こえない音量で話し、私達はわざとらしく手を繋いで教室を出た
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