親友は異世界人! | ナノ
しゅっぱーつ



氷皇が遅れたのはホームルームが長引いたかららしい。
二人は先に行ってて良いよ。という精市君のお言葉に甘えて、私達は先にバスに乗り込んだ。

空いてる二人掛けの席に私が通路側、氷皇が窓側に座った。
一応氷皇は私のサポートとして参加することになってるので、一通り仕事の説明をすることに。
その途中に氷皇が声を上げた。


「お、仁王達来たみたいだぜ」

『ん?』


トントン、と氷皇が窓を指先で叩く。
その先を見れば、仁王と黒いのと赤いのと茶色いの。
言わずもがな、3年B組メンバーである。

その前には仁王立ちした精市君。
3年B組メンバーは精市君に怒られていた。

そりゃそうか。
ただでさえ遅かったのに、同じクラスの氷皇よりも遅いんだから。

氷皇はニヤニヤしながら、私はじぃーっと見ていたら仁王と目が合った。
仁王は視線を私から少し横にずらし、恨めしそうにしている。
視線の先には氷皇が居て、口パクで「頑張れ」と言っていた。


『仁王に何かしたの?』

「早苗を仁王に押し付けて来ただけ」

『……早苗?』


氷皇の口から出た女の子の名前に、思ったよりも不機嫌そうな声が出た。
自分でも驚いたけど、氷皇も驚いた様で。
不思議そうな、少し間抜けな顔で私を見た。


「麗……、嫉妬?」

『、っ!!』


顔が一気に熱くなった。
氷皇はそれを見てニヤニヤしだすし…最悪!!


「かわいいな、麗」

『煩い!』


どうせお子様ですよ。
今まで氷皇が名前呼びするのは私だけだったから。
だから山田さんのことを名前呼びしてて不機嫌になったんだ。

私だけだったのに。

おもちゃを取られた子供の心境だ。


「……何イチャイチャしてるの?」


そこに降ってきた精市君の声。
見上げると、精市君は氷皇を睨んでいた。
いつの間にかバスに乗り込んでいたようだ。

睨まれた氷皇はさっきと変わらず、ニヤニヤしてる口元を手で覆っている。


「ダメだからね!ほら、麗は俺の隣」


手を引っ張られて席から立つ。
空いた席には精市君の荷物が投げ込まれた。
氷皇が何か文句を言ってたけど精市君は無視。

私はバスの前の方の席に押し込められ、精市君は隣に座った。


「それじゃあ、出して下さい」


精市君その言葉で、バスはゆっくりと動き出した。

さぁ、合宿の始まりだ。
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