親友は異世界人! | ナノ
持つべきものは親友と友達と理解者である



まさか、あれが原因で―――――


「私と友達になって下さい!!」


なーんて告白みたいに呼び出されて、涙目で90度のお辞儀をされて友達になって下さいだなんて……言われるとは思わないでしょ?
予想できた貴方はエスパーなんだと思います

断ろうとしたよ
だってこの人を一目見て、苦手だって分かったし
テニス部R陣がいっつも周りにいて正直邪魔でうるさくてイライラしてたし
しかもこの人、天然キャラでしょ?天然ってたまにムカつかない?

なのにさ、R陣が来たんだよ
ここで断ったら「なんで断んだよ!!」とか言われるのは目に見えてる
受け入れてもR陣からの理不尽な嫉妬や怒りを受けなきゃいけないんだろうけど

究極の二択!!
マジこの女ヤダ。厄介事ばっか持ち込んできやがって

結局は嫌々ながら受け入れたよ
そしたら次の日からあの人、私のこと親友って呼び出した

親友の意味知らないだろ

[親友]
きわめて親しい友。
[極めて]
程度がはなはだしいさま。非常に。この上なく。
[親しい]
心がかよいあっているさま。仲がいい。親密だ。

意味知らないだろ(二回目)
[親友]から派生して[極めて]と[親しい]まで調べちゃったよ!!
これでも分からない人は自分で辞書引いてねッ!!!!

親友って、この上なく心がかよいあっている友達ってことだよ?
私と君、どこら辺が親友だし。どこら辺で心がかよいあってるし
よって君からの親友の称号はいりません。お金払うんで返却願います
だってアイツと親友だなんて面倒事しかねーもん

めっちゃ迷惑だわー


「もぅっ……あ、麗ちゃん!助けてー!!」

『ぁ……う、ん。……そろそろ止めないと嫌われるヨ』


……めっちゃ迷惑だわー(二回目)
どうにかこうにかニッコリと取り繕った私を誰か褒めてくれ。…明日友達に褒めてもらお
つか今睨まれたし。美形に睨まれるとか怖いんですけど

私なんかに嫉妬すんなし!!
お前らの嫉妬もいらん!
撫子姫歌の親友の称号と一緒に返却ぅーー!!


『って日常が去年から続いてのるだよ……平古場君に猪崎(イザキ)』

《うわっ…頑張れとしか言えんばぁ》

《はいはい、大変ですねー。つか二人いっぺんに電話かけんなよ》

『平古場君ありがとー。猪崎はヒドイよ。いつもネタ提供してやってるのに』

《別にー。頼んでねぇし》

『…ムカつくわぁ』

《わんがいるのに喧嘩すな。…あ、わんは明日朝練があるからもう寝る。じゃーな》

『ん、そか。話聞いてくれてありがとうね。お休み、平古場君』

《じゃーな、凜。お休み》

《おー、お休み》


私は電話が切れた携帯をソファーに放り投げ、家電の子機を持ったままベッドに倒れ込んだ

平古場君は沖縄の比嘉中に通うお友達
猪崎の従兄弟なんだって。猪崎を通して知り合ったんだ
いっつも文句言うけど、何だかんだいって私の愚痴を聞いてくれる優しい人
この前部活の友達と撮ったっていうプリを送ってもらったんだけど……平古場君もお友達君も恰好良かったなぁ…

猪崎っていうのは親友。男女間に友情は生まれないとか聞いたことあるけどあれは嘘だね
猪崎も立海に通ってて、テニス部を眺めるのが趣味な奴。最近はあの天然マネと取り巻きが面白くて仕方ないんだと


『今日は何が面白かった?』

《お前との絡み。よく笑って取り繕ったな。あれは俺くらい親交がないと分からないくらいの引き攣り具合だったぜ》

『えー。あれが面白い?嘘だー』

《嘘じゃねーよ》


そしてマネと一緒に私も面白いとかふざけたことを抜かす奴だ。悪趣味っ!!


『……今度、合宿があるらしいよ。いつかは分かんないけど』

《え、俺も行きたい》

『うん。そう言うと思ってもう許可は取った』

《さっすが!!分かってるじゃん、親友》

『当然』

《あ…俺からもあってさ、この前行きたがってたコンサートのチケットとれた。今度二人で行こうぜ》

『本当!?うわっ、嬉しい。ありがとう!!』


うん。これが親友
相手の事が手にとる様に分かる
所謂、以心伝心ってやつ
だから相手が嫌がることも分かるし喜ぶことも分かる

撫子姫歌みたいにこっちの気持ちがこれっぽっちも分からないなんて親友じゃないと私は思う。押し付けがましいし

…私と猪崎が特殊なのかもしれないけど
猪崎の気持ちが分かるって言ったら、友達に驚かれたし


『んじゃ今日はここまでにしよっか。おやすみー』

《おう。また明日な》


プツン


『……ふぅ』


明日のことを考えると憂鬱で仕方がない
また撫子姫歌に絡まれて、いらない嫉妬をされるのか
唯一の救いは、ファンクラブ(一部除く)と友達が分かってくれていること
たまにテニス部から逃がしてくれるし

あと、猪崎がいること


あー……もう寝よう
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