親友は異世界人! | ナノ
気が進まない協力



私達は机に広げられたノートのコピーを中心に、全員が押し黙っていた
ただ黙々と、ひたすらノートのコピーを読んでいる

私と精市君は読んでいる皆を観察する
私は美波だけ、だけど


「んだよ…これ」


最後の一枚を読み終えた丸井がポツリと呟いた

最大の被害者は3−Cの三人
丸井、仁王、美波だから、衝撃は特に大きいんだろう

登校から下校まで
事細かく書かれたノート

あの女子生徒が書いたなんて誰が想像できようか
あんな…女子生徒が


「麗が偶然ぶつかってね。その時にノートを取り間違えたんだ。麗がノートを見たらこれが出て来た…まったく、頭が痛いよ」

「精市、犯人は特定できているのか?」

「うん。ノートを取りに来たからね」

「それで?」

『犯人は3年C組在籍の山田早苗』


視線が私に集中する
居心地は最悪
でも、解決方法言わなきゃだし


『解決方法を、氷皇から聞いてきました』



*** ***



あの後は私が解決方法を言う前に騒ぎになった

丸井が叫び出したから
「あの転入生か!!」とか、「犯罪者!」とか、「同じ転入生だってのにアイルとは真逆の悪女だせ!!」的なこととかを、いろいろ
そのまま外へ駆け出した丸井は真田君によって押さえられた

仁王は手が白くなるまで握っていたし
美波は冷や汗をかきながら独り言をぶつぶつぶつぶつ
切原は赤目だし
柳生も桑原も怒りに震えている
三強は眉間のシワが増えた

理由は テニス部及び、美波アイルへの誹謗中傷 だろう
後ろの理由は三強以外に当て嵌まる
ノートには、3−Cの日常と共に美波アイルへの誹謗が書き綴られていたから

自分が正しいと信じて疑わない文章だった


美波アイルはミーハーなのに、なぜテニス部は騙されるのか
美波アイルほどの悪女は見たことがない


とか……ね

何がしたいのか理解出来ない

美波をけなして、意味の分からない優越感に浸っているだけだ


『解決方法ステップ1。仁王雅治の山田早苗への接触』


小さい声で呟いたのに、全員に聞こえたらしい
仁王は私を信じられないとでも言うような目で見ている


『美波さんへ不信感を抱いていると装い接触すること。基本的に山田早苗の意見に同調すること』

「なして俺なんじゃ!!そんなでストーカー被害は本当に解決されるんか!!?」


胸倉を仁王に掴まれた
そこまで強く掴まれたわけじゃないけど、くるしいな


『そう、すれば……山田…早苗は……ボロを出すはず、だっ…て』

「それは確実なんか!!?」

『分からな…っ。でも…他、に……方法は、ある…の?』

「学校に言えばよか!!!」

『ぁ……〜〜〜っ!!!!』


ドカッ


当然話してる間も胸倉は掴まれているわけで
さすがに苦しくて思い切り仁王を蹴り飛ばした


『ゲホッ、ゲホッ……ッハァハァハァ…』

「大丈夫?麗」


咳込む私には精市君と柳君と真田君が
仁王にはその他が周りに集まった

声を掛けて背中をさすってくれる精市君に頷いて、仁王を睨む
仁王も他の人の心配する声を無視して私を睨んでいた


『知らないみたいだから言うけど…山田早苗は金持ちの子なんだ。揉み消されるよ』

「!?」

『それに、氷皇の言葉に間違いは無い』

「ハッ。そこまで猪崎を信用しちょるんか」

『うん。信用してる。特にこの問題は、氷皇に従うべきだよ』

「理由は何じゃ」

『勘』

「勘…じゃと?」

『騙されたと思って、言われた通りにしてみてよ。…必ず決着は、合宿でつくから』


仁王は渋々頷いた
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