始まりのハジマリ
あ゙ー無理。本っ当に無理
我慢できないかも
吐きそう。砂か砂糖吐きそう
「姫歌は俺に言ったんだ!!」
「俺ッスよ!!」
「赤也もブンちゃんも残念じゃのう。今のは俺に言ったんじゃ」
「ぅえぇぇっ!?皆、何言ってるのっ!??」
うっわ…
何これ。乙女ゲームか?そうなのか!?いや、乙女ゲームでもここまで酷くないか?どうなんだ??
とりあえず、マンガもビックリのゲロ甘加減だよね
ベタベタくっついて、歯が浮きそうな台詞を吐いて
ぶっちゃけ誰に言ったとかどーでも良いんですが
って、なんで私がここに居なきゃいけないんだっけ?
あ、そうだ。姫歌さんこと、撫子さんを不本意ながらも助けたからか
つか、撫子ってww
あはははは!!!……はぁ
***
「―――!!!―――っ――!?」
「ちが――!!―――――」
人気の無い校舎裏。私はそこに向かっていた
理由は今イジメてる友達を助けるため。イジメられてる人じゃないよ、イジメてる方ね。しかも友達っていっても先輩だし
というか、今時、こんなベタベタなイジメがあるのにビックリである
「っ……うるさいっ!!!」
『はぁーい。先輩ストップ』
振り上げられた手を後ろから掴んで止めた
このままいったら相手の顔に跡が残るデショ。そうしたら立場が危なくなるのは先輩なんだからしっかりしてほしいよね
「離しなさい!!」
『まぁまぁ落ち着いてくださいよ』
完全に気が立っている先輩に苦笑いが零れる。おいおい。先輩はそんなに短気じゃないはずなんだけどなぁ
仕方ないからまだ暴れる先輩を無理矢理押さえ付けて耳元で囁いた
『テニス部が来ますよ』
その言葉を聞いた瞬間、先輩は暴れるのを止めて、どうしたらいい?とでもいうような視線を私に向けてきた
なんて現金なんだ……ま、どうでも良いけど
『こっち』
私はさっさと先輩から離れ、テニス部が来るのと反対方向へ先輩達を導く
途中で撫子姫歌さんと目があったけど無視した