親友は異世界人! | ナノ
彼から生じた歪み



テニス用具のフロアに到着したのは良いものの


「広いな」

『広いね』

「何処にお前の探してる用具あんだよ」

『何処に私の探してる用具あんだろね』

「『……はぁ』」


「氷皇くーん!!」


テニス用具のフロアの広さに圧倒されていた私達
うんざりして、ため息をついたとき
氷皇に何かが体当たりした

体当たりをまともに喰らった氷皇はよろけ、そのままバランスを崩して私の方にまで倒れてくる


『え、氷皇!?』

「悪い!麗!!」


ドサッ

ゴツッ!!


『い゙っ!!?』


当然私は二人を支えることもできず、二人の下敷きになった
頭は打つし、私の上には二人乗っかってるし
……なんだってんだよ

ふと気付けば、氷皇越しにふわふわの金髪が見えた
何か聞いたことある声だったし、ふわふわの金髪も見覚えがある


「ジロー、退け」


あぁ、氷帝の芥川慈郎か。丸井のことが大好きな人だ
氷皇がいつもより数段低い声で呟いた言葉で、彼が誰かを思い出した

それにしても知り合いだったのか
ということは、跡部さんは芥川さん繋がりで知ったのかな

芥川さんがビクリと肩を揺らして私達の上から退くのをぼんやりと眺めながらそんなことを思った


「ほら、麗」


氷皇が差し出してくれた手を取って立ち上がる

そういえば、氷皇はさりげなく私を庇ってたんだよなー。頭打ったけど
氷皇と芥川さん二人分の重さが掛からないように氷皇が自分で支えてくれたし
何だかんだで、氷皇ってやっぱり優しいんだよね


「頭打ってたろ、大丈夫か?」

『まだ痛いけど、大丈夫だと思うよ』

「そうか?すごい音してたけど」

『…そんなにすごい音してた?』

「してた」

『た、多分大丈夫……多分』

「そ。なら良いんだ」

『心配してくれてありがとー』

「ま、大切な親友だからな。当然だろ」

『えへへ…ありが、っ!!!?』


ゾワリと背筋に走った悪寒
頭の中で警鐘が鳴り響いた
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