SSS | ナノ
2020/02/09
王子様
「やっぱり面白いな〜、この漫画!」
 おおよそ中学生とは思えない中学生たちがテニスとは思えない競技を行う某スポーツ漫画を読みながら、彼女はにこにこと笑っている。
 さすがに俺でも知っているその有名な漫画は、ストレートな意味で『面白い』のだろう。彼女はそれをギャグ漫画かなんかだと思っている節がある。
「また昔の漫画引っ張り出して……あとでちゃんと片付けなよぉ」
「いいの!これはよく読むから近くに置いておくんだもん」
「いや、あんたがそれ読んでる姿見るの、一年ぶりくらいなんだけど……?」
 飽き性な彼女は、見るたびに違う漫画を読んでいる。今読んでるテニスの漫画だったり、ドラマ化した漫画だったり、少年漫画だったり少女漫画だったり……。
 まぁ別に、人の趣味にとやかくいうつもりはないけど。少しくらい文句言ったって許されるでしょ。
「ていうかさぁ、そんなのに夢中になんなくても、ここにいるでしょ」
「なにが?」
「だから、『テニスの王子様』が」
「泉はテニス部所属のシニカル王子様なだけでしょ」
「ほぼ一致してんじゃん」
「全然違うよ!もー、泉まで変なこと言いだした」
 たまの休みの日だってのに、あんたが俺に一切構わずに漫画を読みふけってるからでしょ。――なんて、素直に言えたら、苦労はしないんだけど。
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