僕と君のはなし | ナノ
 廊下に予鈴のチャイムが鳴り響く。チャイムが鳴っても尚、俺はどこぞの廊下を彷徨っていた。


「ここ何処」

 とりあえず誰かに着いてけば辿りつくだろうと適当に歩いていたら、前を歩いていたのは違うクラスのヤツだったらしく、行きついた場所は音楽室だった。
 そんな馬鹿な。

 まさかの展開に動揺を隠し切れない俺は、全然わからない場所でオロオロ。かなり挙動不審であろう。思い切って音楽室に入り、先生にわけを話すというのも方法としてはあったけど、音楽の授業はまだ受けたことないから先生がどんな人かもわからない。その上、自分のクラスでも未だ馴染めていないのにいきなり他のクラスの大勢の目に晒される羽目になるのはごめんだった。

 どうしよう…

 廊下の隅に座り込んで、唸りながら考えていれば


キーンコーン―…

 鳴り響く本鈴を知らせるチャイム。ということはどうあがいても俺は遅刻、ジ・エンド。


「…サボろう。」


 遅刻してまで家庭科室にたどり着いたとしても、待っているのは先生の小言と、クラスメイトの冷たい視線だけだ。

 そうと決まれば話は早い。来た道を戻るべく、くるりと方向転換。そうだ、この際だから校内見学でもしようか。ここにきて一週間経つけど未だに自分のクラスと寮、食堂、職員室くらいしかわからない。
 どうしてこんなにも広いんだ、学校ごときにこんな金かけんなよ。と、来たばかりの時は毎日、前の学校にいた友人に電話で愚痴をこぼしていた。今でもあまり変わらないけれど。

 ひたすら登ってきた階段まで足を運ぶ。そもそもここは何階だろう。自分のいる階すらわからなくて少し情けなくなる。

「階数ぐらい、どっかに書いとけよ…」


 そうぼやいて、ふと顔をあげると壁にデカデカと4階とかかれてあった。…ごほん。

 まだ階段が上に続いていたけれど、そこには立ち入り禁止のロープが貼ってあり、上には何もないことを知らせていた。少し覗いてみたけれどどうやら屋上らしい。
 
「じゃあ、4階から順に見ていくか。」

 そう決めた俺は階段をスルーして再び廊下を歩き出した。




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