最終的に俺たちは新崎先輩のお説教を2人して喰らうハメになった。俺のサボリを説教していたはずの渡辺はガックシと肩を落としつつ大人しく俺の横に正座している。その光景を見ているとなんだかちょっと可笑しくなって、顔がニヤケたけどすかさず頭上から愛のムチが降り注いだ。

 ぬぬぬ、新崎先輩ぬかりない。

「今回のは碧に非があるのはわかった。けど今は部活中や、試合も近い。部活の技術に関してってことなら部活中でも構わんけど、関係ないその他いろいろを貴重な練習中に持ち込むな。」
「「すみませんでした」」
「…まあええわ、今日限りやからな」

 とりあえずお怒りの部長に頭を下げ、なんとかお許しをもらったところで放課後のチャイムが鳴り響く。だいたいこのチャイムを目安に部活は終了し、皆食堂や寮へ帰るわけで――

「渡辺と碧は居残りやな。」

 無情にも居残り練習が言い渡された。




×



「渡辺のアホ」
「なんでだよ」
「だって渡辺のせいで怒られたんじゃん!!」
「元はといえばお前だろ!!」

 他の部員がいそいそと帰って行くのを横目に胴着に着替えた俺は、久しぶりに部活に打ち込みながらも渡辺に文句を垂れる。今日はすっかり休む気だったので、自分の胴着をもっていなかったのだけど、先輩が『胴着なしでやるなんて考えられん』と一言言い放ち、倉庫から古い胴着を引っ張り出してきてそのまま貸してくれた。
 

 そんなわけで俺と渡辺は仲良く居残りです。

 「別に何も考えてないわけじゃないんだよ俺だって。考えてるの!色々!」

 弓を構えて的を狙いながら、いちいち突っかかってくる渡辺に負けじと反論。


「じゃあなんでこんなに拗れてるわけ」
「それは…と、兎に角!自分のことは自分で何とか出来るし!」
「ふん、どうだか」
「〜っ、だから渡辺はアホなんだよ!」
「だから何でだよ!」


 再び不穏な空気が流れ出した俺たちだったが、それはすぐに消え去る。




「――お前ら…、まだ懲りてへんらしいなぁ」


「「すいませんっした!!」」


 先輩の、一喝で。


 
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