14.シャモワ



 大量の荷物を抱えさせられた挙げ句、生徒会と資料室を何往復かさせられた俺は、生徒会室のやけにふかふかのソファの上で項垂れていた。


 ちなみに薄情なことに副会長と会計は俺が四苦八苦しているのを見ているだけだった。


 見てるだけとか、暇人かよ。仕事しろよ。



 内心毒づいていれば差し出されるコーヒー。顔を上げると随分と可哀想なものを見るような目をした人がそばに立っていた。



「・・・どうぞ」

「・・・ありがとう」



 そう言うと彼はスッと給湯室へ消えていった。
あの子も生徒会メンバー、だよな?ネクタイが赤だったから1年か。
今更だが、この学校は学年ごとにネクタイの色が違う。1年が赤、2年が青、3年が緑。

 そういえば彼も全体集会の時に紹介されてたような記憶もある。
名前はえーっと・・・

 考えていると何処からともなく戻ってきた副会長がお得意の微笑を張り付けて俺に声をかけた。



「ああ、星山くん御苦労様。いや助かったよ。そろそろあの資料室を片付けようという話になっていたんだけどほら、見てわかる通り僕らあまり体力に自信がないし、他にやることたくさんあって忙しいしで、なかなか手をつけれてなかったんだ。しかし細いのに体力あるね。やっぱり部活しているからかな?」



 おいおいどの口が体力ないとか言っちゃってるのかな?俺を押さえつけた時のあの馬鹿力はどう説明してくれる。
 ジトリと睨めばにっこり微笑み返される。

 笑顔にちっともときめきません副会長。





「まあコーヒーでも飲みなよ」

「・・・いかにも僕が淹れました、みたいな顔やめてください。」





×



「で、生徒会手伝えってのはどういうことですか?」

「ああそれね。」



 優雅に目の前で足を組む副会長はかなり絵になる。どっかの絵画に出てきそうだ。
澄ました顔をして、コーヒーを啜る副会長はまた少し真面目な顔をして口を開く。ずっと真面目な顔してればいいのに。


「単純な話だよ、人手が足りないのさ。」

「足りないって、今までずっとこの人数で回してきたんでしょう?」

「その正規の人数が足りないのさ、3年が2人と2年が1人、1年が2人・・・さっきの内野が書記だけど、もう1人が病気がちでね。なかなかまともに生徒会に顔を出せないんだ。」



 いや、そんな病気がちな奴生徒会に入れるなよ!・・・というかそもそも、そんな弱そうな人いたっけ?




「というわけで、生徒会補佐に君が選ばれたわけだ。おめでとう」

「どうしよう嬉しくない」

「もっと喜べよ、みんなが憧れる職業だよ?」

「むしろなんで俺なんですか?」

「そうだな、しいて言えば君があの場にいたからかな。」

「つまり誰でもよかったんじゃないですか!」

「そんなことないよ。生徒会のメンバー目当てで入ってくる奴より全然いい。」




 そこまで言い合ったところで書記と会計が生徒会室に戻ってきた。
すかさず副会長は俺を立たせて皆の前に突き出す。




「ああ皆、紹介するよ。これから当分の間生徒会補佐を勤めてくれることになった、星山 碧くんだ。よろしくしてやってくれ」




 あ、もう決定事項なんですね。
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