02.白藍色



 次の日、ユキは朝早くにデカイ荷物を持って部屋を出ていった。
 二泊三日でその荷物?と思わず聞いてしまったが、本人は至って涼しい顔で小さい体に似合わずそれを軽々抱えていってしまった。中に何が入っているかなんて勿論恐ろしくて聞けやしなかった。




「暇」



 誰もいなくなったリビングでこれ見よがしに寛いで見るけれど、やはり暇である。数少ない友達に連絡を入れてみたけれど、各々予定が入っていると断られてしまった。悲しい。

 結局何も予定が入らなかった俺は、1人寂しく広いソファに寝転がりながら映画のDVDを見ていた。

 3本ぶっ続けで見終わった辺りで気づけば窓の外はすっかり薄暗くなっており、心なしか小腹も空いてきた。

 そろそろ食堂にでも足を運ぼうかなと軽く伸びをした時、


pipipipi



 携帯が鳴った。
どうでもいいが、面倒くさがりの俺の着信音は携帯を買った時のまま。


 画面に表示された名前を確認すれば、なんと相手は千秋。

 めったに連絡なんてよこさない彼がわざわざ電話してくるなんて、何かあったんだろうか。少し目にかかる前髪を横に流して通話ボタンを押す。



「もしもし?」

『碧?今どこ』

「今、部屋だけど」

『そう。ユキくんはもう出掛けたよね?じゃ、今からそっち行くから。ちゃんと部屋で待ってなよ』

「え、な」



 プツリ



 すげえ一方的に会話を終了された。まあいつものことなんだけど、え、何で千秋がここに来るの?休日も生徒会の仕事があるとか言って暇なく働いているくせに。


 とりあえず、コーヒーでも入れて待っていようか、なんて暢気に俺は台所に立った。
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