陸と水中のどちらでも生息できる自分にとって、世界は大きすぎる


もちろん俺はただの亀なんだから、こういうこと気にしなくていいのだけれども。


俺みたいなのは、泳いで海藻食って生きて知らぬ間に死ぬ―予定付けられた人生のようったらありゃしない。

けれども、それでも別にいいかなって思うような態度だからこそそういう人生になり兼ねないのかもしれない


今日もあのおっきな眩しいのが周りを照らし、のそのそと盲目に泳ぐ。


めんどくせー、と止まったところで目前にこれまたでかいモノ

どこぞの海獣だろうかと方向を変え、泳ぎだしたけど中々前に進まない

不味いと焦りだしては手足を乱暴に振り回すが、効きやしない


食うならさっさと食えよと諦め、落ち着くと不自然にも口のなかではなく、上へと引きずり上げられる




「……こいつは使えそうだな」



何言ってるのかが分からない。この茶色くて丈夫で長い海藻はなんだ、離してくれない。

噛みちぎろうと思ってもたくさんありすぎてきりがない

大体この細っちい二足歩行野郎はなんだ。どうやってこの大海生き抜いてんだよ


状況を掴めないまま変な紐っぽい海藻かわからないのは俺をそいつの前まで揺らし、やっと話してくれる


しかも甲羅を下にして落としやがった。これじゃ起き上がれねぇだろ!

もういいやと諦めてじっとすれば見下ろしてくるそいつはどこかに向かって何かを叫んで下のでかい海獣は動き出した


改めて思うと、久しぶりに陸に上がった


風も久しぶりに感じるから、そのまま仰向きのまま海獣の仰せのままに揺られていった







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