『試合見に来たの?』


「ああ…だが結構荒れてるな、大丈夫か?」


俺の隣に並んだのはどこにいても目立つくらいの無表情な進、いや清十郎。
清十郎って言いにくいな、清ちゃんでいいかな。


『俺は大丈夫だよ…清ちゃんが嫌だと思ったら帰っていいから』


「いや、いい。お前らの試合を見に来たからな」


『偵察?』


「そんなわけないだろう」


こういうときとかは友達が友達の試合を観に行くのが普通だと聞いたなど、あやふやな理由を述べる彼

そんな清十郎に俺は笑うしかできない



「ところで清ちゃんって何だ」


『あー。あだ名?だよ。清十郎って言いにくいからさ、ちょっと可愛く言ってみた。 嫌なら言って?』


「いや…もうそんな関係にまで発展したのかってな」


『はい?』


そうか、と一人で納得したようで自己完結をしている

一体どんな関係のことを言ってるのだろう…というか、あだ名だけで関係は深まるのか?



「それに名前は友達だろう。親に付けられた名もそうだが、友達に付けられた名を嫌がるわけがない」


『ほえー…清ちゃんかっこいいこと言うなぁ。惚れたらどうすんの』


「友達が友達に惚れるというケースも多くはないと聞いた」


『少しは否定するなりなんなりしないと俺清ちゃんの未来が心配になるよ』


言ってみるものの、彼はなぜだと言わんばかりに首を傾げている

頭を抱えてると、そうだと思いだす



『そういや俺、試合には出ないよ?』


「それは知っている」


『それでも観るんだ』


「友達だからな」





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