そのまま二人話さないでバイクの帰り道


「お前ってほんとうぜぇな」


『何回言うのそれ』


「気が済むまで」


吐き捨てるとスピードを上げる

疲れてる割には時間はまだそんなに遅くないみたい

まだ部活ある頃だろう、何せ遊園地行ったのが午前中だったし


帰りがけにうっかり命を落とさないよう、眼の前の背中にしがみつくと意外にも何も反応がない


***



学校の前まで来るとバイクを止める

一体彼の頭の中で何があったというのだ。

もちろん行きたくはないが、彼ならあのまま自分のアパートにでも連れていくかと思ってた

俺、何かしたかな


何か言おうと口を開けると、いきなりバイクから蹴り落とされた



「せいぜい俺の痕を学校中に見せびらかすんだな」


急に何の情も映されなかった顔がニヒルな笑みをかざすと少しでも心配した自分が馬鹿馬鹿しく見えた

この仔が何もしないなんてないのに


仕方ないから溜息を吐いた後、じゃ、と手を振る

すると、いやらしく引きつった笑顔も一瞬にして崩れ、怒りに変わる



「…まじうぜぇ。」


『ごめんね』


「その何もなかったって言うような面、いつか歪ませてやるよ」


『…そう』


可哀そうにと言いそうになるのを抑え、平然とした表情を保つ

サングラスで見えない眼が何を映してるのかは知らないが、今の俺には関係ないこと

変に他人の事情に首突っ込むのは危険なことだからあえてほうっておく


最後にまた睨まれ、「腐って死ね」と言い残し、エンジンを鳴らしながら去る






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