そのまま列に並ぶ必要もない観覧車のブースへ行き、チケットを見せては小さな車両に乗り込む

いつの間にかところどころ電気が尽き始める時間になったみたい


甘えないとは言ったが不意にも時間が早く過ぎるほど楽しんでしまった

自分の馬鹿さに呆れてだんだんと小さくなっていく建物を見つめる

あー馬鹿馬鹿、もう、馬鹿


瞼が重い



「ったく、こんな幼稚いとこ連れてきてよぉ…」


『今度からはついてこないわー…超後悔』


「冷めたこと言ってくれるじゃねぇの」



隣にいる彼が優しさのかけらもない手付きで顎を掴んで顔の向きを変える


『冷めたも何も、事実なんだし。嘘ついてもいいことないし』


「ほんと、うぜぇ奴」


『どうも』


俺がどうこうできる前に喰い付くように口を塞がれ、強引に角度を変えながら一方的に攻め立てられる

疲れが抵抗する気力すらくれることを許さない

予想通り、まだ顔を掴んでる手が下顎を引っ張り不本意に口が開く


自分の思うままに俺を玩具のように扱う阿含は楽しそうで


咥内には初めて逢った時とは違い、唾液でねっとりとした舌が入りこむ

しっかりと自我を保って意識も遠くない今は、口の中を乱す異物の動きに一々反応してしまう


『んぅっ…』


酸素が足りないと彼の胸を叩いてやれば、黙れとでも言わんばかりに俺の顎を掴んでない手が首に周りきつく締まる



『ぁっ…っ…がっ…』



頭に血が溜まって行くのがわかる

気付かないうちに彼の胸板を苦しいとばかりに引っ掻き回してる


やっと離してくれると視界が反転したりと目が回るような感覚



『っはぁ…っ…ゲホッ…オエッ』


「あのままじゃ声漏らしてくれそうになかったからよ」


どこまでも自分勝手な人だ


「息荒らそうだなぁ…?」


呼吸を整えるのに必死で、睨むことしかできない

今の状況ではそれが逆効果だとは気付いているが、睨まずにどうしろと






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