あれから未だに自転車をこいでる俺

まぁ、一日中振り返りもしないと帰りがけも一日近くかかるもんだ

また見慣れた道をのろのろとこぐ

もう気にしないことにして、やっぱり戻ることにした




『はー、ちょっと疲れたかも』



あれから一睡もしてないし…


今はなんだろう、調度登校時間



事故とか起こさないように速度は徒歩同然


半開きの眼で自転車をこいでいると、隣に人の気配

訳わかんないけど、どうやら俺のペースに合わせてるみたい




「………」



『………』



そのまま、驚いたことに10分間も無言で隣り合わせで歩いてる

チラっと隣を見ると王城のあの仔だ

名前忘れた…シン?


それっぽいなと納得いったその時にガッチリ視線が合う




「お前、泥門の奴だったな」



話すタイミングが少しズレているような



『え?あ、あー。そういやうちの学校、そんな名前だったね』



「運動のしすぎじゃないか、筋肉が疲れているようだが」



『き、筋肉?まぁ結構自転車こいでたからなぁ…』



俺が疲れたワケではなくて俺の筋肉が疲れていると言われたことは多分ないな

っていうか、俺ちゃんと服着てるよね?なんか透けたりしてんのかな、そうだったら恥ずかしい



「アスリート向けな体つきだな。スポーツは何をしているんだ」



『スポーツなんか小学生の頃、体育の授業でサッカーしたことくらいだよ。 まぁ、先月辺りまでは日本中をサイクリングしてたから…それでいつの間にか肉づいてたワケかもね』



大きく口を開けて欠伸をする

隣の進君は真剣な顔を崩さずに俺を見ながら歩く

別に俺の話しなんてそんなに面白くもないでしょうに…




「…ホワイトナイツに、入る気はないか」



まさかの勧誘

なんでこうもアメフトの人は俺に目を付けるんだろう



『アメフト、やる気だったらとうの昔にどっかでやってるよ。ごめんね』



「残念だな。 アメフトをする気がないのなら…お前は蛭魔の友達かなにかか?」



『友達……なのかなぁ。友達っていう言葉をどう認識するかによって違うね』



実際相手はそう思ってないかもしれないし、もし思っていなければ一方的な友情となる

そんなの面倒なだけ



「ならばお前は、それをどう認識する」



『………わかんないや。自分で言っておいてなんだけど…俺にはわからない』



「怖いのか?」



自転車に乗ったまま止まると進も止まる

変な仔だ。今まで話したこともない俺に、突然こんな話題を振りかけて…

彼の眼を見ると、小さな俺が映されてた

俺の眼も小さな彼を映してるんだろう



全く、本当に変な仔だ






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