とはいえ、さっきから妖一が何も言わない

いつも合わせてくれてる俺のペースも完全に無視して先を歩く



別に彼を攻めるつもりもないけどね

疲れる試合から帰ってるのにあんなのに会ったら機嫌損ねるでしょうよ


結局家に着くまでお互い一言も交わさず、玄関にあがろうとすると背中を蹴られ、情けなく倒れる

笑えないや




「ケッ、床に血ぃ沁みついたらテメーが洗えよ!」




『あでっ』



顔に何か直撃したかと思うと包帯だった

もうちょっと早く出してくれればよかったんだけどね…



『もう血止まったけど…』



「誰がわざわざ包帯出してやったと思ってんだ糞ノロマ。俺の包帯取るまでの20歩の努力を無駄にさせっか、使え。使わねーと傷口開けてまで使わせるぞ」



『あーはいはい。ありがとう、そこまで使わせたいなら巻いてくれないかな』



「自分でやれ馬鹿」



残念だ、とわざわざ大きい声で言いながら御手洗に包帯を巻きに行く

鏡で見た自分はいやに笑ってる

素で笑ってる自分を見ることはそうそうないから、正直変


でもまぁ、悪い気はしないから、いいかな



あ、髭長くなってる







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