「なんでお前こんなカスと一緒にいんの?」




『人はカスじゃないよ』




欠伸をすると思い切り叩かれる

その音で数歩前を歩いていた妖一が足を止め、ゆるりと振りかえって気難しいというより苛立ったよう






「こんなとこで何してんだ、糞ドレッド」




「俺の玩具がお前といたのをみたからよー…おっかしーなと思ってついてきたんだよ」




「ケケケ、迷惑なヤローだなぁ?悪ぃけどこいつは俺の秘書なんでな。ナマケる習性あるあら監視しねーといけねぇんだ」





「あ゛ぁ?ざけんなよ、こいつは俺が連れて帰ることになってんだよ」




頭を鷲掴みする手に力が増す




『別に自分で決めたことだけどねー。俺なんとも言って―』





思い切り口を塞がれる

顎が外れるんじゃないかと思うくらい痛い





「誰が喋っていいっつった」




『俺自身』




「あ?」




殴られることを期待して、別に体に力を入れるわけでもないが目を閉じる

だけど5秒数えても何も起こらないまま

10秒もこのままだと危うく寝てしまいそうだ





「何おびえてんの?カワイイ〜」





『いや別に。ちょっと眠くなってさ』





そして今度こそ顔面にくるだろう拳が振り上げられた途端






「おっとそこまでにした方がいいんじゃねぇか?」



「あ゛?何だよ、んのカス―…」





口の端が目に届くくらいに笑ってる妖一の手にあるのは携帯が二つ

一つはビデオ、もう一つは録音





「てめぇ…」




「これが東京中の女子に渡るのにどんくらいかかるだろうなぁ?1週間?1日?」





ギシギシと歯が掠れる音と血管が切れるような音が聞こえた

俺は笑わないように欠伸で誤魔化す








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