「起きろこの糞睡魔!!」





今日で妖一の家に引っ越して2日目

なーんだかいろいろ早い気もするけど、どうせアパート借りて引っ越すところだったんだし、いいか

一人もいいけど、友達(得にこういう類の)と同じ屋根の下だとなんだかわくわくしないかな

なんかカップルみたい、と言ってみたら危うく追い出されるところだった



『このソファ、妖一の匂いがする』




「気色悪ぃこと言ってねぇで支度しろ」




俺もこれで「嬉しいくせに」と自己完結しているから尚更救いようがないとも言えるだろう



ふんふん鼻歌を歌っていると携帯が鳴った。

メールの送信者を見ると溜め息が出る





"もう怪我治っただろ。今日暇かよ"






『暇じゃない、部活ある……っと』





おびえてOK出すよりかはすごく頭の良い返答だとは思う

大体自分はおびえるような人じゃないし





そうやって支度を済ませると、すでに玄関では機嫌を現在進行中の形で損ねている妖一が待ってた




***





あれから聖泉球戯場につたものの、王城が貸切バスで来る中俺達泥門が遅刻した奴を皆が乗ったカートに結びつけ、後ろからものすごく怖そうな犬が追いかけてくる恐怖で走らせた


マスコミすごく驚いてる




「な、なんで地区大会でこんな…」



瀬那君が目にしているのは観覧席をぎゅうぎゅうに詰める人、人、人

見てたら席足りないような気がする




「桜庭君目当てだよ」




『桜庭君っておめふとやってるの…』




「名前君……アメフトだってば…」




『覚えにくいなぁ』





そうかなと言いたげな栗田

反対側を見れば王城がすごく豪華そうな弁当をもらっている。

一人だけ食べない仔を見てみる。食べないと言ったのか、隣の大きい人が彼の分の弁当を食べ始めた



いつのまにか弁当に行ってる目を逸らしたのは視線

俺って視線に敏感すぎるようでなんだか怖い

視線が誰のか探ってみると、食べてない仔だ




じーっとみてるから俺もじーっと見返す

にらめっこだと思えば多少は楽しい

全く知らない人とにらめっこなんてそうそうできるもんじゃないしねぇ




「名前君、食べる?」





『ん?ああ、ごめん…作ってきてくれたの?』




仕方なくにらめっこは負けてやり、話しかけてきたまもりちゃんを優先する

彼女の手には可愛らしいおにぎり

よくみれば部員が「勝ー利!」やら 「全然こっちのがいい」とはしゃいでた

この人達って女の子が作ってれば毒でも積極的に胃袋に放り込みそう



そんなことうっすらと思いながらありがたくおにぎりをはもはもと食す




視線を戻すと、もうあっちの彼は俺に興味がないようで










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