なんとか彼の視線の届かないところまで来るとペダルをこぐ速度を落とす



最近人とかかわりすぎなんじゃないかと悩んでしまう

ちょっとの間だけなのに、調子に乗りすぎて友達っぽい関係になってしまった人達がもう…

馬鹿ぁ、と自己嫌悪が始まる

一時見学はやめようかな…ある程度離れていると関係も薄くなるし……




あーあ、俺は一体何してるんだろう






『はぁ〜。イヤになるなぁ……まぁ、まだ少ししか経ってないからいい方なのかなー。』





どこへ行こうとも都会の辺りは金が必要。それが今の俺にはないから自然とここに縛られることになる。








『とーりあえずバイト』








角を曲がるとまた一段と気分が悪くなる

何これ、なんとかした方がいいのかな








なんか後戻りしたらすごく気が悪いし、そのままスルーするのもなんだし…

あ、やばい俺止まっちゃった?あーこれじゃ完全に絡まれるな








「っ…たっ…助けっ…」






すごく見てるだけで痛々しい痣と血だらけの顔をした誰かが死ぬとでも言う様に俺にすり寄ってくる








『…………はぁ…ちょっと待って』







俺も本当にお人好しなんだな、さっき人とかかわりすぎとか言ってたくせに…

ゴソゴソといつも念のために持っている包帯を取り出し、彼に渡すとそれだけ持って逃げて行った


ほら、何するかわからないから他人とかかわるのは好きじゃない









「ぁんだこのカス」







『邪魔しちゃったねー。まぁ俺も人を見殺しにする程酷くはないからアレだけど。俺バイト探し中だから行かせてもらうね』






面倒なことが頭に積み重なり、頭痛を生みだす


それだけ言って何事もなかったかのようにまた自転車をこぎ始める






「ハッ、ざけんな」







自転車こいでたはずがいつの間にか地面に叩き落されてた

あーあ。何これ超面倒。

包帯もないし…やっぱ無視した方がよかったかな







『俺ねー、今喧嘩にあってる暇ないのよ。痛いの嫌いだし、バイト探さない限りお金もないし、俺を好きなだけ殴ってもいいけど君にはなんのメリットもないと思うよ』




地面に寝転がったまま上を向いてサングラスで見えない彼の眼を見た







「メリットがあるかどうかは俺が決めんだよ。ったく、せっかく後少しでプチッと潰れてくれたのによー…どうしてくれるワケ?あ"?」




胸倉を掴まれ、立ち上がらされる
厄介なことになりそうだなぁ、どうしよう




『謝るか―っっぶ』





手を合わせ、謝ろうとすると視界が一瞬真っ白になり、瞬時に漆黒へと切り替え、ぐらぐらと頭が回るような感じがする

痛いけど別に声出して良くなるわけでもないから出ない






「へぇー、声上げないんだ」






『あげてもしょうがないでしょ』





「そうだな」






また鈍い音と共に視界がひっくり返ったり戻ったりして気持ち悪い

こんな風に暴力を受けるのはいつ以来だろう、なんだか懐かしい。もちろん悪い意味で。





面倒、と思ったら状況的に出るはずのない欠伸が抑えられず逃げてしまう











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