目を覚ますと今日の授業の終了の金が調度いい時間に鳴る


溜め息混じりの欠伸に続いて体を伸ばす

男女関係なく「放課後いつ開いてる?」とか「電話番号頂戴」などと聞かれたけど、全部わかんないと言って逃げていく



靴箱に見覚えのある顔があると思えば妖ちゃん






「テメーどこ行く気だ」





『バイト探しー』




学校に来てる本当の意味だしなー、と口にはせず土足に履き替える





「んなどうでもいいことかよ」





『俺は今お金ないの。めんどくさがりの俺でも金がないとやっぱり生きてらんないのー。』






「ケッ、めんどくさくねーバイト知ってるけどなぁ?」






校舎を出ようとすると顎に手を当てた彼がニヤニヤしながらこっちを見ている

どうせロクなことじゃないんだろう…





『俺はコンビニ辺りがいいかなと思っている』





「人の話を聞け」






仕方なく面倒なのでお手上げ〜ということで聞くだけ聞いてみる









「俺の秘書だ」






『はは、何それ。いくら払ってくれるのよ』




冗談で彼を肘で突く





「いくらでも」





ほんっとーに冗談が通じない子だなぁ……と呆れる

自然と頭を抱える形に






『はいはい。俺を好きな気持ちはありがたいけどそんな冗談は他の人に言っちゃうと本気にされちゃうよー。財布灰になっちゃうよー』






「ケケケ、ナメられたままじゃ嫌なもんでね。本気だ。 後テメーは自惚れが過ぎてんだよ」






彼を見ればなんだか本気のようで

いくらあんな彼でもいくらでも払えるような金はないんじゃないのか……







『大体なんで俺?他に真面目な仔いるでしょ』





「その真面目な仔が好きでやってくれると思うか?」




『(いや、アンタのナリなら少し押しただけで快くやってくれると思うよ…)


 それもまぁそーなのかねー』





ビビリに払う金はねぇ、と付け足す







『でも今日は見学やめるよ。このまま毎日見学行ってちゃもう部員になっちゃう』







「ケケケ、俺はそれでもいいがな」






『あー愛を感じるねー。』







そのまま一人歩き、ふと後ろを見ればまたあの刃物のような視線を感じる









『ダーメ!妖一メッ』






そう叫んで面倒なことになる前に自転車に飛び乗ってその場を後にする

















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