「おー、集まったか」




なんだ自分が一番遅れてるじゃねぇか、と悪態つく一年っぽい誰か





「で、超可愛いチアリーダーってのはどこ!?」





「おー、後でくる」





『へー、来るんだ』





未だ隣にいる瀬那君は苦笑しながら多分来ませんと呟く

なんだ残念






「栗田さんも遅いなぁ…」





知らない人の名前が出てきたので、慣れたように空を見上げて話しが終わるまで待つ




すると「来たか糞デブ」、と遅れてきた彼が楽しそうに言い放ち、これで全員揃ったかな、とさっきまで座っていたところから立ち上がり、遅刻したもう一人の子を見た





「割と重いねこれ」




全然重たそうに本人はしていないものの、縄で縛り引きずっているカートには俺の何倍もの高さに積み上げられた箱、箱







『だ、大丈夫…そうだね…』








「あ、君この前ボール拾ってくれた!」






名前だよ、と自己紹介をすれば、栗田良寛、と名前が返ってくる

今のところ、入学してから2人しか名前覚えていないなぁ…




別に覚えなくても俺は平気だけど、と思い、皆と同じ車両に乗る

「清掃中」と血濡れたような字で書かれた張り紙がついていたのは笑ってスルーした





誰もいない車両なので、貸切状態だ

天界グランドまでどのくらいかわからないけど、今朝邪魔された分今睡眠を取ろう


野宿の時とは違う、弾力のある柔らかい席を占領して慣れない心地よさに僅か数秒で眠りに落ちた





***







電車に乗ると、眠たそうな糞マヌケが俺に挨拶も交わさずに後ろの方で寝転がって、数秒後に、気持ちのよさそうな寝息が聞こえた


それには多少イラつきが増し、話を聞け、と言いそうになるが今はまだ見学者として来てるだけ、聞くも聞かないもあいつの自由


ルールくらいは覚えてほしいんだがな





「次・天界グランド〜」と放送が流れるとあいつを起こしに後ろの方へ回る






「いつまで寝てやがんだこの糞睡魔」





そう言って叩き起こそうかと左手が出るが、触れる直前に手が止まる




改めて間近で見るこいつの顔は無表情同然で、肌色とは関係なく白いキャンバスのよう

何見てるんだ、ととりあえず視線を泳がせるものの、最終的にはこいつの顔を見てしまう



電車が速度を落としているのに気付かず、次の瞬間にパチッ、と寝ていなかったかのようにあいつが目を開く







『ん。ここでしょ天界グランド』





「………早く降りっぞ」





『どうしたのー』





「なんでもねぇ。早く来い」




急いで背を向け、他の助っ人部員と一緒に電車を降り、

ははは。はーい、とだらしない返事が返ってくる










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