自転車をこぐことさえめんどくさくなった。

ストレス発散にいろんなところぐるぐる回ったけど晴れない。


もう日が暮れてて、携帯を見ると妖一から電話が何十回もかけられてた。

この時間になったらもう誰も部室にいないよなー、となるべく知ってる人と鉢合わせにならないように遠回りをしていく。

やっと着いたころにはやっぱり誰もいなかった。



『さて…』



部室に入り、妖一があの大工の人からこっそり盗った金槌がどこかにあるはずだ。

よく考えてみれば、今から俺がすることは部員の皆にとってはすっごく迷惑なことだろう。

俺の信用に影響を与えかねないことだと思うんだ。



『やるか』


でも、今までと同じく、そんなことはどうでもいいんだ。

そんなことより目の前にあるこのロッカーを始末することが先だ。



ガンガンドンガシャドスドスドスと床にセメントやら鉄やら散らかり騒音を作りだす。

近所迷惑かな、警察呼ばれるかな。


頭の隅に置いた思考を無視しながらもハンマーで打って、鉄を剥いで、手も切った。



きっと俺は今、すごく必死なんだろう。


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