ぱんぱかぱーん



「「「YAA-HAA--!!!!」」」


『やーはー』



今日、新しい部室が完成した。




「全員個室だー!!」



わーわーと自分の手で作り上げた部室に押しかけ、中をきょろきょろと皆して目を輝かせる


本当に子供みたいだ。


不良三人組や、ひ弱な雪光君、モン太もロッカーが個室。

頑張ったかいがあったね、と俺は後ろで微笑む。


そこで目に引っかかるのが一つ。





自分の名前が書いてあるロッカーだ。




『………』



俺はずっと外で物を運ぶ仕事してただけだったから、中がどうなってるのかは今初めて見たけど、誰だろう、俺のロッカーなんて作ったの。

ネームプレートには丁寧に【名前】と書いてある。


モン太がなんで自分のネームプレートだけモン太なんだ、とギャースカ言ってるのはすぐに聞こえなくなって、体中の血が砂のように引いて手が冷たくなる。



『妖ちゃん、俺トイレ行ってくるわ』


「あ?さっさとしてこい糞ノロマ」



わかってる、と満面の笑みを返して重い足取りで部室を出る。

出たすぐそこには荷物をトラックに積んでるあの大工の老け顔の人だ。



「どうだ、いい出来じゃねぇか」


『…………』



俺はどう返事すればいいかわからなくて、その人の目をじっと見ることしかできなかった。

我ながら不審だな、と笑いそうになったけど、表情筋が動いてくれなかった。


それに対して大工の人は眉間にしわをよせた。



「…どこか不満か?」



『………』



当たり前じゃねぇか。不満だ。不満すぎて頭痛い。

そう叫びたい気持ちを抑えて俺は鼻からフッと短く息を吐いてうつむいた。



『俺、帰るね』




ケルベロスが寝てるから、調度いいや。自転車使おう。

チェーンを外してその場から逃げる。大工の人にはつくづく変な奴だなぁと思われただろうな。




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