結局のところ、20−21で王城の勝利。ぎりぎりセーフと言ったところで笛が鳴る。


途中から鉄馬って人が出なかったおかげらしい。横を通る西部の選手が悔しそうに吐き捨てた。


しかし、勝っておりながらも清十郎達が監督に叱られるのがグラウンド中に響き渡る。

清十郎をみると、監督の説教は耳に入っておらず、ずっとスコアボードを見つめたまま少しだけ表情に嫌悪の色を塗る。




やっと説教が終わると、特に歩くペースを速めることなく、のそのそと清十郎まで歩み寄る


こっちを向いたが、お互い何も言わない。

正直のところ、俺がなんて言えばいいのかがわからないだけなんだ。

多分、今の彼は「よかったね」も「がんばったな」も「勝ったからいいじゃないか」のうちのどれも聞きたくないだろう。


だから、そんな無意味で空っぽな励ましの言葉より、俺は素直に思ったことを言うことにする。



「俺は気の利いたことは何一つ言えないけど…俺としては、結果はともあれ、清ちゃんが出た試合を見れてよかったよ」


ね?って彼の肩に手を置く。

ゆっくりとこっちを向いた彼はまだ無表情だけど、さっきより落ち着いた顔をしてる。


「今度」


少し自信のない一言目

はいはいそれで?と退屈した様子も見せず清十郎の言葉を待つ



「今度は…こんな試合がなかったかのように思える程…強くなる」


「応援してる」


じゃあね、と彼の手を一握りして背中を向ける





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