「優しいね」 何のことだ、と俺の顔を見ずに前を歩く ほんと、素直じゃない。 「栗田のかき氷機に氷入ってなかったらどうしてたのさ」 「なんのことかさっぱりだなー?」 そんなこと言ってる割には上機嫌。 そんな自分の優しさをちゃんと見てあげたからなのだろうか、もっと褒めろとでもいうようなオーラが漂う。 「そんな優しい妖一君にこの俺が特別にカレーを作ってあげよう。」 ははん、と小さく胸を張る。 勝手にしろ、と言われたので別に食べてくれない訳じゃないよね、ちゃんと食べてくれるよね。 「おい糞ノロ」 「はいはい、なんでしょーか蛭魔様ー」 「俺は退屈してねーからな」 「そりゃよかったね」 「テメーの迷惑は俺に借りを作ってるだけだ。いつか存分に返してもらうんだよ」 「わっ…どうしよう俺死んでも返しきれないかも」 「ったりめーだ」 どーしよー、とふざけた声でわざと声を大きくして彼の後ろを歩いてると、急に止まる。 そしたら急に振り向いて、俺の目を見る。 「だから天国に行っても全部返してもらうまでテメーを地獄に引きずり込む」 それだけ言って、ちょっと放心状態の俺を置いてさっさと帰って行きましたとさ。 prevnext |