緑黄


 昼休み。二年のとあるクラスに校内でもよく目立つ黄色がひょっこり顔を覗かせた。途端に教室が黄色い声で騒がしくなる。
「緑間っち!」
 目的の人物を見付けると真っ先にその席へと向かう。
「お前が来ると騒々しくなるのだよ」
「でもちゃんと教室に居てくれるんすね」
 眉間に皺を寄せて見上げる緑間に対して黄瀬はへにゃと笑う。自然な動きで前の空席へと腰を下ろした。勝手知ったる何とやらとまではいかないが、そこは青峰の席なので特に気にする様子もない。
「じゃーんっ」
 そう言って緑間の机の上に出したのは二つのお弁当箱だ。
 いつもは食堂でバスケ部の面々と共に食べるのだが、今日は違った。昨日の部活終わりに「教室で待ってて!」と黄瀬に告げられ今に至る。
「雑誌の企画でね、『彼メシ彼女メシ』って言うのをやってるんスよ。それでちょっと朝から頑張ってみたんスけど」
 朝会があるため朝練が無かったこの日を狙ったのだろうと安易に想像出来る。出なければ手作りなどとてもじゃないが無理である。
 蓋を開ければ色とりどりのカラフルな中身が顔を出す。
「朝から作る暇があるならばロードワークなり勉強なりすればいいだろう」
「でも頑張って練習したんスよ?」
 唇を尖らせながらも箸を渡す。緑色の箸と黄色の箸は色違いのお揃いだ。
 同時に食前の挨拶をして、先に緑間がおかずに手を着けた。それをやや緊張した面持ちで黄瀬が見つめる。
 味付けもそうだが、食材も自分で買い物をして料理研究家のお兄さんに教えられた美味しい野菜の選び方を参考に選んできたものだ。何から何まで黄瀬一人で作ったのは初めての事だった。
「……どう、スか?」
「不味くはない」
 褒めているのかいないのか。判断し辛い言葉である。当然、その感想で満足出来る筈もない。どちらかと言えば凹む要因の方が大きい。
 特別な言葉は要らない。どうせ反応を貰えるならばただ一言「美味しい」と言ってくれるだけで嬉しくなるのに。
(でも、結構練習したから味は悪く無いんスけど……)
 けれどもその言葉の通りなのだろう。不味くはない。だから特にこれと言った文句もなく箸を伸ばしている。その事実だけでも良かったと黄瀬は思った。
(まあでも、そう言うことっスね)
 あれこれと考えていたから根本的な事に気付かなかった。緑間がどういう人間であるのかと言うことを一番良く知るはずの黄瀬がそれをすっぽり忘れていたのだ。
 だから綺麗に完食までしてくれた意味を知るのに、緑間が食後の挨拶の後告げた言葉で漸く知ることになるのだ。それも心の準備も整わぬ内に。
「次はお前の味噌汁が食べたいのだよ」
「へっ!?」
 それは彼なりの『美味しかった』と言う素直な感想だったのだと。



【素直じゃないけどなんだかんだ黄瀬に甘い緑間】
最後は緑間の好きなものにしようかと思いましたが流石におしるこはなぁと思い庶民的な味噌汁にしましたが何これプロポーズ?な状態になってしまいました。
でもきっと緑間のプロポーズは素直じゃないですね。
でも高尾にプロポーズくらいは一生に一度の大事な言葉なんだからさ素直になりなよ真ちゃんって言われて素直にドストレートな直球を投げるのもありだと思います。
所で私は一体何の話をしているのでしょう。

>こんにちは。お祝いのお言葉ありがとうございます。
この様な無節操サイトでも宜しければ、是非またお越しください。
緑黄は矢張りマイナーですかね。まあ高尾がいるので其方のCPの方がメジャーですよね。ですが私も緑黄好きですよ。黄瀬受けにハマった一番最初のCPが緑黄ですから!わざわざ人気のない場所に来て、泣いている黄瀬を見て、タオルを投げ渡す。もうそこで緑黄にドはまりしました。いいですよね、緑黄。増えないかなぁと思ってます。
リクエストありがとうございました。


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