紫黄


「紫原っち!」
「黄瀬ちんっ!」
 まるで感動の再会とでも言わんばかりのオーバーリアクションを伴ったこの二人の行動に周りの人間は唖然としていた。片や一九〇近い男と片や二メートルを超える男が抱き合い「あはは」「うふふ」と言ったメルヘンな風景を幻覚で見えてしまうような副音声も聞こえる始末だ。
 そんな光景を余所にさっさと合宿所の中に荷物を持って入って行ったのはキセキの世代と呼ばれる先の二人を除いた三人と幻のシックスマンだけである。
 合同合宿を提案した洛山高校バスケ部主将が用意した合宿所はがたいの良い高校生が大勢押し寄せても余裕があった。バスケ部の為に作られたのではないかと思う程に快適な建物だ。ドアから天井から全てに於いて標準より高い。出入口も廊下も横幅にはゆとりがある。食堂に並べられたテーブルや椅子も例外ではない為、隣同士の間隔が充分にあった。食事の際、隣の人と肘がぶつかるようなことも無いだろう。
 本人直々に「外国人用に提供されている宿だ」なんて説明されてその時は皆納得したが、しかしどうやって短期間に宿を貸切状態にしたのかは不明瞭のままだ。
 練習の際は一校に一つのコートが与えられた。一つの体育館に二つのコートがあり、それが三つ用意されているのだ。また使用コートはローテーションで行い、その時隣り合った高校と混合チームを即席で作る所もあったようだ。
 ハードな練習を終えた彼らの楽しみが食事である。
「私達で作ろうか?」
 と言う相田と桃井の言葉に誠凛、桐皇共に表情が強張ったものの赤司の「それも此方で手配済みだ」の言葉に誰もが安堵の色を見せたのは記憶に新しい。そんな食事の場面では交流を深めると言う名目で席は自由だった。
 何だかんだで同校同士が固まりそうだと言う懸念はどうやら取り越し苦労だったらしい。真っ先に高尾が「笠松さん、隣いーっすかぁ?」とフレンドリーに話し掛けたのが皮切りとなったようだ。
 そしてその食事の場面が今、各チームの面々を困らせていた。しかし直接的被害は無いので誰も何も言えないでいる。
「紫原っち、はい、あーん」
「あーん」
「あ、またぁ。直ぐに飲み込んじゃだめっス! ちゃんと噛まないと消化に悪いんスよ?」
「だって早く次のおかず食べさせて欲しーしー。ってゆーかー、黄瀬ちん食べたいしー」
「も、もぉっ!」
 隣り合って食べさせる黄瀬にべったりな紫原は冒頭の出会い頭に放ったメルヘンオーラと同等のものを放つ。余談であるが、この二人の間に桃井が加わればお花オーラへと変わるらしい。
「あ、黄瀬ちん。指にソース付いてる」
「ほんとだ。ティッシュかナプキンってどこにゃあっ!? む、むむ紫原っち!」
 拭く物を探してキョロキョロしていた黄瀬の指を紫原は何の躊躇いも無く口に含んだ。瞬間、黄瀬は肩をビクリと震わせ顔を赤く染めた。
「ん、やっぱ黄瀬ちんおいひー」
「あっ、もうっ、ダメ……ス、んんっ」
 紫原の舌が丁寧に舐め上げる度に黄瀬はビクビクと反応する。赤らんだ顔と瞳に涙を溜めた黄瀬がふるふる震える姿を見て大人しく終わらせる紫原ではない。
 舌が離れるや否や手の平や手の甲、指の間と舌を這わし彼の反応を楽しんだ。
「あッあっ、むらっ、紫原っちぃ」
「もうちょっとらけー」
「ひぁあッ、そこっ、んッ、だめ、アぁッ」
 紫原の舌が蠢くほど黄瀬の声は糖度を増す。それに比例するかのように周りの空気は居た堪れ無さに包まれる。嘗て中学時代を共にした彼らだけはマイペースに食事をとっていた。
「タツヤ……お前んとこのアレ、すげーな」
「敦が食事そっちのけって初めて見たよ」
「ブフォッ!! 笠松さん、拳握るなら箸置きましょうっ! マジ、箸折れそうっすよ! ブハァッ!!」
「後でシバく。絶対ぇシバく」
 よもや他のテーブルでこの様な会話がなされていたことなど、微塵にも思わないだろう。
 紫原が満足して舌を引っ込めた時には欲を含んだ熱っぽい視線で「物足りない」と強請る黄瀬が居たと言う。



【キセキ獲得校の合同合宿で出来上がってる紫黄が皆の前で思う存分いちゃいちゃしてるのをお願いします】
イチャイチャとベタベタの境界線を教えてくれださい。切実に!
紫黄安定の「あーん」です。私の紫黄は毎回「あーん」してます。その内『紫黄、「あーん」以外で』みたいなリクエストが来るんじゃないかと思うくらいには使ってる気がします。クレーム来ても謝罪しか出来ないレベルです。すみません。
でも紫黄可愛くて好きです。昼間はあーんでも夜はそれが短くなrおっと誰かが来たようだ。

>初めまして、こんにちは。
この度は当企画に参加くださいまして誠にありがとうございます。また、お祝いのお言葉も添えていただきありがとうございます。
日参してくださっていらっしゃるとか。ありがとうございます!嬉しいやら恥ずかしいやらしかし矢張り嬉しいやら嬉しいやらで非常に嬉しいです。
いえいえ此方こそわざわざ貴重なお時間を当サイトに充ててくださり大変恐縮です。
お気遣いくださいましてありがとうございます。これからも陰からも陽向からも支えていただけたら幸いです。
リクエストありがとうございました。


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