知るかっ! [ 8/8 ]



 今日は安全だと思った。
 何せ本日の担当はスタメンの良心で変人だけど常識人な緑間だ。その証拠に、前の二人でハプニングとなったお風呂の時間も難無く終えている。緑間が一緒に入ろうと強引に誘ったり覗きに来たり、ましてやパイズリを強要したりする事もなかった。だからそれですっかり安心しきってしまったのだ。
 それは風呂上がりに起こった。

「あ、そうだ緑間っち」

 緑間の後に入った俺は風呂から上がるとリビングへと移動した。そこでいつもの習慣で棚から円形の容器を取り出した所でふと思い付いたことがある。
 ソファーに座る緑間の足元にちょこんと座った。彼は丁度爪にヤスリを掛け終えた所だ。

「今日は俺がその手を労ってあげるっスよ」
「要らん」
「ヒドいっ!」

 容器の蓋を開けながら上機嫌に言えばスッパリ断られた。しかしそれでめげる俺ではない。伊達に黒子から冷たくあしらわれてないのだから。
 と、自分で言っておいて何だが凹みそうだ。

「気持ち良くなるマッサージしてあげるっス」

 そう言って俺はボディバターを適量手の平に乗せて人肌で温める。良い具合に温まったので手の平全体に馴染ませた。そうして緑間の右の手の平をマッサージしながらその肌に塗り込んで行く。
 以前ネイリストの人に教えて貰った(コピーした)ハンドマッサージだ。手の平を押し広げるようにしてゆっくりとマッサージしていく。指も指の間も丁寧にしていけば、緑間はただ黙ってその工程を見ていた。

「どうっスか?」
「不快ならば直ぐに止めさせているのだよ」

 それはつまり気持ち良いと言うことだろう。本当に緑間は分かり易いが回りくどい。
 しかしそれでも気持ち良いと感じてくれていることが嬉しくて、俺は調子に乗ってしまった。それがいけなかった。

「ん、はぁっ、ぁ」

 くちゅ、ぐちゅ。と淫靡な水音を立てているのは緑間の勃起した性器だ。先端から先走りが溢れてそれが更に滑りを良くする。その上一層音が鳴るのだから悪循環だと思う。
 こうして俺の足はベトベトに汚れていった。
 俺は今、チームメイトに足コキをしている。
 お互いの位置は先程と変わらずで緑間がソファー、俺がその足元に座ったまま。だから自然と両腕で体を支え、腰を上げた状態になっている。
 行為に及ぶ直前に脱がされたジャージはソファーの背凭れに掛けられていた。寝間着用のシャツとショーツだけを身に纏う。奉仕する為に足を開かざるを得ないのでさぞかし緑間の位置からは絶景が拝めていることだろう。

「あ、んんっ」
「やりながら感じているのか?」
「ち、がっ」
「違わないだろう。風呂上がりだと言うのにこんなに濡らして……染みが出来ているのだよ」
「アァァアアっ!」

 長い脚でぐり、と割れ目を刺激される。瞬間、昨日一昨日では感じなかった得体の知れない快感が腰を砕いた。ビクビク震えても尚、緑間からの刺激は止まらない。

「イくのが早いな」
「アッああっ……やだっ、これ、ぁあっ」
「動きが止まっているのだよ。集中しろ」

 誰の所為だと噛み付いてやりたいが生憎そんな勢いは残っていない。さっきの刺激が余程堪えたようだ。身体が火照る。
 先走りを絡めて足の裏や指の間、指の腹も使って扱く。グチグチと卑猥な音が聞こえる。けれども自分の股からも聞こえているような気がして気が気じゃなかった。
 そうこうしていると緑間が足首を掴み動きを制す。同時に緑間からの刺激もピタリと止まり、そこがもどかしそうに疼いた。

「立ってソファーに手をついていろ」
「んっ」

 言われるままに動いてハッとした。今の格好は緑間にお尻を突き出しているのだ。羞恥心と焦燥感に苛まれている間に緑間の長い指が先程弄られていた箇所に直線触れてくる。足の付け根側から指を滑り込ませているようだ。
 どこの痴漢っスか! と言えなかったのは太腿の間に先程まで奉仕していた熱いモノが挟み込まれたからだ。ビクビクと脈打つ雄々しいそれは嫌らしい音を立てながら前後に蠢動する。けれども音を立てているのはどうやら自分も同じらしく、正直、どれがどの音なのか最早分からなかった。

「アアアッ! だめっス! ソコッやらぁああ、あっァア、あああっ!!」
「くッ!」

 執拗に嬲られ感度を増したソコを綺麗に切りそろえられた爪の先で引っ掻かれ、とうとう達してしまった。緑間も同じくして達したらしい。太腿に熱い迸りが付着した。雄の匂いがする。
 トロッと重力に従って太腿を伝う。
 俺は知らなかった。
 チームメイトの中でも最も良心で常識人だと思っていた彼が、ムッツリで脚フェチだったなんて。俺は知らない。
 けれど、ガクガクして足に力の入らない俺を横抱きで浴室まで運んでくれたりするから、罰の悪そうな顔で見るから、俺はどうしても責めきれなくて安心させるように笑ってしまうんだ。こんな事をされても嫌いになれないなんて、俺はおかしいのだろうか。



知るかっ!
(だって誰も教えてくれなかったしっ!)

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