「電気くん!電気くんの個性ってコンセントの代わりになったりしない?!」
「は?」

学校帰り、ファストフード店に入って2人ポテトを食べていたら怜が突然コンセントとがどうのとか言いはじめた。わけも分からずそのままポテトを摘まみながら話を聞いていると、どうやらスマホの充電が無いらしい。

「そんなん家に帰って充電すればよくね?」
「だめなの!絶対だめ!」
「なんでだよ」
「あの、その、轟くんとLINEしてて…その」

顔を真っ赤にしながらもごもごと言いづらそうにしている怜から轟という名前が出た。轟焦凍。同じクラスでエンデヴァーの息子で学校中の女の子達が轟を見ればキャアキャアと黄色い声を上げる。
ふーん、怜も例外じゃなくて、その1人ってことか。面白くねえ。

「で?怜は彼氏と居るのに他の男とLINEして、挙句の果て彼氏の個性を使ってまで轟と連絡を取りたいと?」
「うっ」

気まずそうに下を向いた怜は顔から湯気が出そうなほど真っ赤だ。お前の彼氏はここだぞ、おい、とツッコミを入れて上げたい。

「怜。お前が好きなのは誰?」
「電気くん…!男の子として好きなのは電気くんだけだよ…!」
「おま、…ばっか!」

待った待ったと怜の前に右手をやってストップの合図。左手は赤くなる顔を覆った。俺ってめちゃくちゃ単純だ。にやにやする口元を必死に引き締めて怜をみた。
ばちりと目が合うと怜も顔を真っ赤にしていて、恥ずかしそうに笑った。可愛すぎる。なんだこいつふざけんな。

「俺も女の子として好きなのは怜だけだ…!だからもう今、轟とLINEすんのやめろよ」
「ん、そうする」
「いい子じゃんか」

素直に言うことを聞いてくれた怜の頭をわしゃわしゃ撫でた。その直後、俺の胸に倒れこんで来た怜にびっくりして体調でも悪くなったかと顔色を伺ったらさっきのなんて比じゃないくらい林檎のような顔をしていて、ああ、やべえ、なんて頭の中で呑気に言った。

「怜、奥詰めろ」

怜をソファーのようになっている椅子の壁側まで強引に追いやって周りから死角を作ると、俺は素早く唇を奪った。

重なった唇は数秒のうちに離れて、さみしさからもう1度顔を近づけたら怜の手のひらが必死に俺を近づけまいとガードをする。

「電気くん…!こ、ここ公共の場だから!」
「知ってる」
「なら、」
「…わかったよ!わかった!もうしねえ!」
「…そういうのは、2人っきりがいい」

一言言わせてくれ。やっぱ俺の彼女は世界一可愛い。以上。



20150304


 

 

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