気づいたら、ライバル校のでかいのと付き合ってました。





夜遅く、電話がなった。マナーモードにし忘れたそれは、大きな音を立てて私の眠りを妨げた。誰だよ...と眉を寄せてベットから起き上がる。文句を垂れつつ、私は電話の相手が誰なのか、大方予想できていた。

画面を見ると、灰羽リエーフの文字。やっぱりな。私は素早く通話ボタンを押した。

「もーしもーし」
「あ、怜!もしもし!悪い、寝てた?」
「別にー?リエーフからの着信音で起きたりなんてしてないけど?」
「ごめんって」

夜中に電話かけてくるとかありえないから、そう皮肉ったらしく言ってやったら、けらけらという笑い声とともに謝罪の言葉が聞こえた。しかたないなぁ、とため息をついて伸びを一つ。

「で?用件は?」
「用事なかったらかけちゃダメだった?」
「...ダメじゃないけど、もうちょっと早い時間のが助かるんだけど」
「了解。今度から気をつけるわ。てか怜がこの時間に寝てるって珍しいね?」

そう言ったリエーフに「夜更かしはお肌の敵でしょ」って返した。そうしたら「ようやく怜もそういうとこ気にするようになったのか」と聞き捨てならない言葉が聞こえてきてムッとする。別に気にしてなかったわけじゃなかった。16年間女の子やってるわけだし。

「怜」
「どうした?」
「ちょっとベランダ出れる?」
「えーめんどい」
「お願い、ちょっとだけ!」

そう懇願され、モソモソと動く。何だかんだ言ってリエーフにすごく甘いのだ。私はベッドから立ち上がって部屋から直通のベランダへ出た。

「出たよ?」
「ありがとう。...月が綺麗ですね」

途端、リエーフは優しい声でそう言った。リエーフそんな言葉知ってたんだ、と内心失礼なことを思う。でも、冷静な思考と反比例するように頬が熱くなってきて今にも火傷しそうだった。

「隣にリエーフがといるともっと綺麗に見えるかもね」
火照った顔を誤魔化すようにそう言ってやったら、電話越しにリエーフの声が詰まったように感じた。

「怜それずるい。」
口を尖らせたようにリエーフは言う。うん、ずるいってわかってるよ。でも会いにきて、とは言わなかった。私は烏野排球部でマネージャーをしている。リエーフは音駒でレギュラー。烏野が練習で忙しいようにリエーフのいる音駒だって忙しいのだ。

「絶対、烏野は全国行くからね」
「もちろん。待ってるから早く来いよ」
「早く来いって言われても試合の日程変わらないから無理だよ」
「わかってるって!俺そこまで馬鹿じゃないから!」



リエーフとあれやこれやと喋りこんでいたら、時刻は0時をとうに超えていた。楽しい時間というのはあっという間に過ぎるとよく言うけど、本当なんだと再認識させられる。

「こんな時間まで話し込んじゃってごめん」
「謝らなくていいよ。楽しかったし」
じゃあ切るね、と私が通話終了ボタンを押そうとしたとき、リエーフが「待って」と引き止めた。

「怜!今度東京来たときは一緒に月見よう!」

その言葉に私はまた夜風に当たることになるのだ。

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偽物参上
20140623


 

 

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