ハッピーエンドなど問題外です。



何もないところで転けましたなう。あるときは複数の先生に同時に仕事を押し付けられ、またあるときは不良に絡まれ。こんな私のことを人は超高校級の不幸と呼ぶ。

昼休み、先生の手伝いを終えた帰りに転けた私は教室へ戻るべく歩を進めた。


「江ノ島ちゃーん」

教室に入ってまず江ノ島ちゃんのところにダッシュ。
「怜じゃん、どうしたの?」

「それがさーまた転けちゃって…痛い…」

そういっているうちにテンションが下がって自然と自分の表情暗くなるのがわかった。

「〜っ怜、その絶望的な表情!すごくいいわ!!」

それに反比例するかのようにテンションが上がる江ノ島ちゃん。こんなに喜ばれると不幸になってるかいありますね、ほんと。

「……相変わらずだね、なんか江ノ島ちゃん見てるとこんなのどうってことないわ。」

「…うれしくないです…」

そういってあげると江ノ島ちゃんの雰囲気が変わった。これも彼女の個性で、一定のキャラは飽きてしまうからコロコロキャラを変えてるらしい。小さくぼそぼそ喋るから聞き取りづらくなるんだよね。

「えっ、嬉しくない?」

次はうざかわ系の女の子。なぜか見た目まで変わってるけれど目にも止まらぬ早さなのか変わる瞬間がわからない。神業ですね、まじ江ノ島マジック。

「あったりまえじゃーん、だってぇ私は超高校級の絶望なのですー!」

そう彼女は絶望。私は不幸。似てるようでちょっと違う。彼女は絶望的なことが大好き。いつまでも味わってたい、見ていたいっていう変わった子で、私はそんなこと全くないけど不幸体質で面倒なことにいつも巻き込まれる。

「でもさ、私たちすっごく相性抜群だと思うんだ。だってさ、私が不幸になってるとこを見て江ノ島ちゃんは絶望を感じて幸せになってる」


私は自分の不幸で人を幸せにできるなんて思ってなかったから嬉しかったんだ。まあ、ちょっと難ありな子だけども。

「し、幸せ?!やだやだやだ、ハッピーエンドはお断り!私はバットエンドが!絶望的なエンドが見たいの!」

はい、はじまりました。彼女の中で絶望的なこと=ハッピーエンドだから、普通の人がいうハッピーエンドは嫌だといつもいう。幸せって言葉とか希望とか、そういった言葉が会話に出てくると鳥肌が立つらしいのだ。

「…そんなんじゃ結婚できないよ?」

なんて言って購買で買った牛乳を飲もうとしたらすでに江ノ島ちゃんに飲まれてた…。なんで人の飲み物とるんですか、私が不幸だからですか。

「するわけないじゃないですか…」

江ノ島ちゃん可愛いのにほんともったいないなぁ。私が男ならほっとかないのに、さすがモデルって感じ。
「でも結婚って人生の墓場っていうぐらいだよ?絶望味わえるんだよ?」

「うぐぐ、確かにそれもあるわね…」

そういうと彼女の心は揺れ始めたようで真剣に悩み始めた。なんだこれ、すっごいちょろい。江ノ島ちゃんは絶望って言葉にだけは敏感だから、可愛いよね。
全国の江ノ島ファンに告ぐ。絶望的なことが向こうで起こってるから見に来ない?って言えばナンパ成功確率上がりますよ。

「さて君は結婚したい?」

「う…」

彼女はいたって真面目に考えてるのかもしれないけど、私的にはちょっとアホなこの会話がいつまでも続いてくれればいいのになんて。

…それじゃあハッピーエンドか。
いやある意味絶望とずっと一緒なんてバットエンドでしょうか。

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ギャグじゃないですね、すいません。ギャグ書けるようになりたいです。
20131021

 

 

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