粉砂糖の心音
私は大和田くんと付き合っている。そしていま、大和田くんの部屋に来ている。
とはいっても、別にこれといって特別なことをするわけではなく、お互いにしたいことをしていたり。二人で何かしたりというよりは二人同じ空間で過ごしたいという感じだ。
そんなんで満足してるのかって聞かれるけど私には更なる楽しみがあったりする。
「ねえねえ、大和田くん。」
ベットでうつ伏せになって寝転がっている私はベットを背もたれに床に座り雑誌を読んでいる大和田くんに声をかけた。因みに読んでる雑誌は少年週刊誌だ。
「あ?なんだよ、怜。」
大和田くんは雑誌から目を離してこっちを見た。私は目をそらさずにじっ、と彼を見つめる。これが合図…暗黙の了解みたいなものだ。しばらく見つめあっていたけど、大和田くんが折れてくれたのか雑誌を膝から床へずらした。
「ちっ、しゃーねぇなぁ。おら、こいよ。」
その言葉を聞いて私はベットから大和田くんの横によじよじと匍匐前進で移動した。そして大和田くんがかいた胡座の上へ大和田くんを背にした体勢で、すぽり、とあけてくれていた腕の中に収まる。
私の身長が低いせいか大和田くんの膝の上に乗っても私の頭より大和田くんの頭の方が上にある。どんなに頑張って伸びをしてみても越えれないのでちょっと悔しかったり。
でもぎゅっと後ろから包み込むように抱き締めてくれるこのときが一番幸せ。大和田くんを尊敬している族の子たちが見たら度肝を抜かれるような、そんな状況。普段の大和田くんならこんなこと絶対にありえないし、二人っきりのときにだけ見せてくれる甘えなのだ。
「へへへ、暖かい」
「…っ」
微かに息がつまるような声が聞こえてきて、それと同時に後頭部にに重み。大和田くんの額が私の後頭部ととごっつんこしてる。唇も髪に当たってるかと思うと恥ずかしい。身動きが取れないぐらいに締められた腕が後ろを振り向くことを許してくれない。
「もしかして、照れてます?」
「…あたりめーだろ、好きな女抱き締めてんだから。」
どきっとした。
いつもは私が大和田くんをからかってへらへらしてるのにこういうときだけ不意討ちでかっこいいこと言うなんてずるい。お陰で心音が大和田くんにも聞こえちゃいそうなぐらいおっきい。
「つ、ついでにキスもしちゃう?…なんちゃって」
それを誤魔化すように妙に大きな声で言った。そしたら今まで後頭部にあった重みが消える。大和田くんは私の頭をぐいっと自分の方に倒して顔を上に向かせた。すると上から大和田くんの唇が降ってきて。
ちゅっ、ちゅっと何度も顔中にキスしてくるものだからくすぐったくて身を捩ると今度こそ私の唇にそれは降ってきた。
「…んっ。」
目を閉じてキスを受け入れたけれどそれも一瞬の出来事。あとに残るのはちょっぴりの熱と胸を占めるくすぐったさだけだった。
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匿名様リクエストありがとうございました。ちゃんといちゃいちゃできているかは謎です。
20131003
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