「石丸くんなんてもう知らない!馬鹿!!」
「?!…ちょ、待ちたまえ葉山くん!!」
きっかけは些細なことだった。今日は一緒に校内を探索しようと前々から決めていて。
こんな絶望的な生活の中で恋愛なんてと思うかもしれないけど私たちはなんだかんだでここまで来れていた。
最初こそ石丸くんは学園の風紀が乱れるとかいって恋人らしいことはしてなかったけれど、そういう石丸くんの性格を含めて大好きだからあまり気にはしていなかった。
その分私たちはちょっとでも多く一緒に過ごそうと互いに約束していたのだ。
なのに、今日の石丸くんときたら。
「葉山くん、悪いが今日はどうしても兄弟と男同士の話がしたいんだ。本当にすまないが今日は別行動をさせてくれないか?」
そう言って踵を翻し私に背を向け大和田くんと去って行こうとしたのだ。私はそんな石丸くんの背中にモノモノマシーンを回して当てたプレゼントを盛大に投げつけ一方的に怒って呼び止める石丸くんを無視してその場を離れてしまった。
今思えば石丸くんにとって初めて兄弟と呼べるべき友達ができたのだから一緒に過ごしたくなるのも頷ける。そう考えると私が悪いのだけれど既に嫌われてしまっていたらどうしようと謝りにもいけない状態である。
恋ってこんなに難しいものだったんですね。
「はあ…」
今日何回目かのため息をついて一人食堂の机にうなだれた。
今頃石丸くんは何をしてるだろうか。まあ仲良く大和田くんと学園しているにきまっているのだけれど。そう考えたらまたイライラして。私糖分が足りてないのではないか。
いつもならこんな時隣に石丸くんがいてくれるのに。
やっぱり石丸くんがいてくれなきゃ嫌だななんて思ってしまうあたり私は石丸くんに依存してるのだ。
「馬鹿は私だよ、ばーか。」
流れ出た涙をそのままに瞼を下ろした。
20130901
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