とある少女の処世術

帽子屋屋敷のアリス‘sルーム。私とアリスでプチお茶会中でございます。
ルート進行確認と萌えとアリスとアリスとアリスを摂取できる時間です。
情報交換ということで定期的に合うようにしているのだが、一方的に私が幸せを受け取っている気がしてしょうがない。ペーターさんにバレると殺されそうで黙っています。
「えっえっ、えっ!? え〜〜!?!? おふろですって〜〜〜!?!?」
「驚きすぎよ……」
尊さ爆発ぶんばいや! みたいなことになってきて顔が熱くなってきた。
「ちゅぅう……」
ピアスさんみたいな声を出しながら顔を覆う。うわー! 3次元ガールズトークに耐性がなさすぎるのでほんっとに顔が赤い。いや本当死にそう。
アリスも流石の適応力、私に対するスルースキルをかなり手に入れてきたようで悶える私の横で話を続ける。ちなみにですがお風呂でドッキリ(星)初回の説明を受けています。
「でも特に何もなかったわ。ごめんなさいって言って出てきたの」
「えっ、一緒に入らなかったんですか」
「入るわけないでしょ」
――のちに一緒に入るんですけどね! ははは、真実はいつも一つ!
大体のルート確認が取れた。よかった、順調にブラッドルートを進んでいるようで安心。ちなみに私は新装ハトアリ初見プレイで帽子屋屋敷に滞在し、一瞬で双子に殺されたのでアリスに「物音がしたらぜったい寄ってくださいね!? 下手したらマジで死にますからね! 人生で一万回くらい使う予定の一生のお願いですアリスが死んだら私も後を追うので本当にお願いします」と言っておきました。あとナイトメアにも釘を刺すよう頼んでおきました。
本当にトラウマなので……。ね……気を抜くと殺されるの怖すぎファンタスティックワンダー……。
「素敵ですね大きなお風呂……私も湯船が懐かしくなってきました」
「元の世界では入っていたの?」
「はい、毎日湯船に浸かる民族なので」
「それは恋しいわね。ブラッドに言えば入らせてもらえるとは思うけど」
「お断りしておきます、いろいろと怖いので」
安定するまでアリスのルートの邪魔をするわけにはいきません。半分くらいまで進んでブラッドとずぶずぶな関係になってもらってから楽しく鑑賞させて頂きます。
――でも本当に湯船は恋しいです。スーパー銭湯とかあるんですかねこの国。
国をザッと見た感じ、なかったんですよね。これは、風呂屋を開けば儲かるのでは(チャリーン!)。
「私は話し終わったわ。ゆりはどんな感じ?」
「そうですね、特に変わった(ルビ:アリスに話せる)ことがあったわけでは……」
本当は色々変わったのだが、アリスに言って良いことはあまりない。
「あ、ビバルディに素敵なハーブティーを教えていただきました! 城近くにある紅茶屋さんなんですけど、ローズヒップのハーブティーが味良し色良し香り良しで素敵で! もしよかったら今度一緒に……」
時間がどんどん過ぎていく。

ブラッドたちにも挨拶をして、塔への帰り道。公園のベンチでアリスの状況をノートに書いていく。
細かく書かれた記述がノートを黒黒と染めている。
――結構書きましたよね……。
アリスのことはもちろん、私が見聞きしたもの全てが書いてあるといっても過言ではない。夢も覚えている限り記録している。
ぱらぱらとめくって、見返す。
――見にくいです。見にくいというか引きにくいというべきでしょうか。
――インデックス貼って情報の整理をしないと……。
私はノートが埋まっていくのがとてもうれしかった。
ペンをぎゅっと握りしめて、ノートをより良くするための用具を買いに文房具屋さんに行くことにしたかった。したかった。
財布にお伺いを立てるまでもなくすっからかんである。
――早くお金稼ぎしないとですね。
私は悲しさと共に帰路についた。

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