とある少女の処世術

もちろんIn 夢だって手を抜きません。
「出現! レインボーーーーッ!!!」
私の掛け声と共に豪勢な虹ががさぁとかかっていく。気持ちがいい。
夢でのことはあんまり覚えていられないし、ノートも持ち込めないので別にここで良く振る舞う理由はないのだが、覚えていないのは私だけで、ナイトメアは覚えている。はず。
なのでクローバーの国に引っ越しした時の好感度のために頑張って会話したり遊んだりしている。
今時計塔にいるんでクローバーの塔に匿われることになりますし、夢魔という強い役と仲良くしておいて損はないです。
――まぁこういう魂胆も全部わかってらっしゃるんだろうけど!
――あと純粋に楽しいので、オールオッケーです!
夢に来て2回目か3回目かにコツをつかんでからというもの、私は夢で遊びまくっている。
想像で自由に動かせる世界は本当に楽しい。
「待て待て、虹はそんなに曲がりくねらないだろう」
「くぅーーー!!! レインボーロード!!! 夢ですよね! 夢でした! みんなで楽しく虚空へ落ちましょう!」
ナイトメアは私が楽しそうに遊んでいるのをいつも見ている。
「ちなみにこれは色タイルが分かれていないレインボーロードのイメージです! 私はいつもキノコを選択するのですが、ナイトメアは芋虫なのでキノコさんを譲ってあげることもやぶさかではありません! その場合お粥さんででどーんとふっ飛ばしますけどね!」
「何の話だ!?」
「一人でやってもつまんないですから! やりましょ! ね! ね!!! キノコに乗せてあげますから!」
私はポンっと、キノコの車(スタンダート)を出した。初心者がいるので50ccで!
この後がっつりレーシングした(もちろん全勝)。

「君はもうすっかり夢を自分のものにしているね」
疲れた顔のナイトメア。私は遊びに付き合ってもらって晴れ晴れ。
楽しんだもん勝ちです! 自分の夢ですし!
「この前は恐ろしい生物を出すし……」
「ああ、モンスターをハンティングするやつですね! 我が愛する青い熊さんとともに古代竜が守る熟成ハチミツを採取しに行くほのぼのとした時間でした」
「あんなゴツゴツした腕をしたやつがほのぼの系なわけないだろう!」
腕も当たり判定ですからね。がつん。ちーん。
あとやったのは、うーん……。あっ、細菌汚染系のシューティングをですね。ウォーキングデッドゾンビアンデッドパラダイス。5発の弾丸と共に街を駆け抜ける。
「ああ……あのゾンビ……思い出しただけで気持ちが悪くなってきた」
――ウイルス感染ですか!? 病弱はウイルス感染かかりやすいから、早くワクチン打たないといけませんね。あっワクチンって基本注射なんで、ナイトメアにはできませんねご愁傷様です(笑)。
「ごほっ」
ついに血を吐いた。赤い。絶対気道から出てますよねこれ。
吐血と喀血の違いもあいまいになってしまうのはなんともワンダーなワールドですねぇ。
「もっとこう、ほのぼのとした世界にしよう……」
息も絶え絶えにナイトメアが訴えてくる。
「じゃあ、動物がいっぱいいる森にでも行きますか? ハチに刺されタランチュラに襲われ、占い師には頭にたらいを落とされ、狐から詐欺に会い、住民をスコップで殴ったり落とし穴にはめたりする世界なんですけど」
「君の頭の中のイメージ画像と言ってることが、まーったく一致していないんだが」
気のせい気のせい。
そんなこんなで時間が過ぎていくのであった。
――そういえばこの人、アリスとも会って私とも会ってますけど本業大丈夫なんですかね。マッマが可哀そうすぎる……。
思い浮かべるは彼の部下の姿。あの、みなさま同意してくれると思うんですけど、ツインでのぽわんぽわんリボングレイさんのスチル頭に残りませんか!? というわけでそれを思い浮かべます。
「グレイは私の保護者じゃない、部下だ! そのリボンはなんだ!?」
――きっとお母さまが夜も眠らずしりぬぐいをしているのでしょう、さめざめ……。母―さんが夜なべーをしてー残業してくれたぁ……(歌)。
「うるさーい!!!」


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