とある少女の処世術

と、アリスストーキング計画を遂行する前にまず事前準備。
さしあたっては大まかな地形把握と、装備ゲット、住民の好感度アップ。
とりあえず移動しながら地形把握と好感度アップを狙っていきます。
それではスーパー余所者ゆりの活躍をダイジェストでお送りいたします!
「いらん、静かにしていろ」
不機嫌そうな声が聞こえた気がするが、構いません、どうぞっ!!!

In遊園地

「もう少し、車体を重くしないといけません。せめてあと5キロは増やさないと……」
「えぇ? でもそれじゃ摩擦が大きくなるからスピードが出ないよ」
ジェットコースターのお話を聞いていたら、いつの間にか相談役になっていました。
だってこの猫さん物凄くこう、何もかもを無視した設計をしてるんです。頭は良いんですけどその使い方をスピードにのみ費やし、その他の物事をすっ飛ばしてるんですもの。
「ならカーブを緩やかにするか、車輪を線路にがっつり固定するかしないと脱線しませんか?」
「うーん……」
不服そうな猫さん。
「わかりました、リニアモーターカーにしましょう! 宙に浮くジェットコースター!!!」
「え、なにそれなにそれ。ジェットコースターが宙に浮くの!?」
「ちょっとまってください計算してみますこの世界って超伝導体あります?」
「あるある!」
あるんかーい。
ノートの空いたページに計算を……って。
「あ、そうだ重力を忘れていました」
普通に元の世界と同じ重力があるものとして計算していたのだが……。
「ボリス、体重計あります?」
「ん? んーおっさんに聞いてみればあるかも」
「うーん……まぁ、知ってる役なしさんたちに聞いてみればわかりますね」
ボリスは信用できませんからね!
――さぁて、腕の振るいどころですね!

「そうそう。お、できた!?」
「と、とりあえずそれっぽいものが……」
なにしろジェットコースター設計初めてなんで、いやそもそもこういう本格的なのはじめてなんで、私の書いた何となくの図をボリスや他の役なしさんたちに手伝ってもらいながら完成させた。
「これ大丈夫そうですかね?」
「うーん、いや俺たちも初めてで、なんとも……。でもチョー楽しそうっす!」
「めっちゃ自信ないんでほんと安全確認だけはお願いしますね! 死人出したくないんで!」
目を輝かせながら話し合っているボリスたち。
遊園地には近いうちに新しいアトラクションが出来ることであろう。

In 帽子屋屋敷
すがすがしい空気、青々とした芝生、美しい花々、豪奢な食器類。
そして大きなテーブルを囲むのは、白い乗馬服(?)と青いエプロンドレスとオレンジ色のうさみみと黒いジャージ……。
「君が来てくれるとお茶会が楽で済む」
「……確かに」
「むぐむぐ……それは良かったです」
「ゆり! これ、新メニューのにんじんマフィンなんだ。試してみてくれよ」
「わぁい!」
約2名の視線がいたーいでーす。
「……それくらいにしておいたら? あなたまでウサギになるわよ」
聞こえませーん。だって美味しいんですもーん。
エリオットから手渡された、にんじん色のマフィンを口へ運ぶ。
「うまうま! バリムシャァ!」
美味しい。とても美味しい。ふんわりしっとりべりーでりしゃす。
「だろ!! くーっ、ゆりがいるとにんじん料理がもっと美味くなる気がするぜ!」
ウサギさんは大変満足らしい。
自分の好みをわかってもらえるって、結構嬉しいですもんね。
私もアリスの同士がいると嬉しいですしね。ありがとうございますクラスタの方々。
「じゃんじゃか食えよな!」
ブラッドが凄い目つきでこっち見てきます。
ひぇーん、怖いですー。
「特ににんじんが好きというわけではありま。せんよ!?」
言い訳しておく。
「美味しいものを美味しいと言っているだけです。他意はありません」
「それならよかった。オレンジ色の信者がこれ以上増えてはたまらない」
あからさまにほっとした表情をしたブラッドを横目に紅茶を一口。
――あーーー!!!
「紅茶も感動するほどおいしーーーーー!!!」

[ 27/39 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -