ありすと!

ばぁぁん!! と扉を開ける。
「ユリウス、皆さんに挨拶してきましたー」
ユリウス仕事なうで全くこっち見てくれません。いいもん、一人で考えるもん。
「ナイトメアにも会いましたし、これで皆さんとの顔合わせが終わりましたね」
椅子を引いて座る。
「うーん……まずはこれから何をすべきかですよね……」
そしてノートの後ろ側を開く。何を隠そうこのノート、前半部分は得られた情報、後半部分は自発的な行為の計画立てに浸かっているのだ。
「まず、目標を定めましょうか」
まず第一に目標とすべきはアリスのストー……。
えー、アリス周辺の情報収集ですね(あんまり変わってない)。
ストーキングに必要なものは何か。
時間、情報を得る手段、あと一番大事なのは執念。
もちろん持論です。PSPの画面における乙女ゲームの主人公の追っかけと一緒ですね。
リアル罪は犯してないんで許してください。
私は時間、執念の面はばっちりなので後は手段!
――まず、アリス大好きウサギさんに協力を仰ぐべきです。
まずこの世界においてただの少女が出来ることは限られている。
たとえ余所者特権があるとはいえ、それはいわゆる対人能力に分類されるもの。
「ゆえに私は遺憾なくその能力を使いますよ! ええ!」
自分で何かできるわけではない。僕は影だ!ってやつですね違いますね。
むしろアリスの物理的な影になりたい。それなら万事解決。
ごほん。
というわけで一番積極的に協力してくれそうなのは今のところペーターさんですね。
理由は割愛。みなさんわかってくれるって信じてる。
そして私のほうでなんとか連絡手段を作って、ペーターさんとなうこねぐてぃんぐ!すれば……。
「よし完璧です!」
「何が完璧だ、この犯罪者予備軍」
「にゃっっ」
驚きの奇声をあげて飛び上がるとユリウスが私の椅子の後ろに居た。
「真後ろに立っても気づかないほど集中して、何をやってるかと思えば……」
「他人の恋路を邪魔すると馬に蹴られるんですよ!!!」
「だからって犯罪を許していい言い訳にはならないからな」
「ワンダーワールドにおいての法律は日本国の法律にのっとってるんですかそうなんですか!? そもそも法律があったとてそれを破ることになんのペナルティがあるのでしょうか! ルール違反じゃないなら基本何やってもいいんですよねこの世界! 雨降りませんよね!」
「本気で、お前は常識と倫理観を身に付けたほうがいい」
何回も言いますけどバレなきゃ犯罪じゃないんで! あとこれ私の愛の形なんで!
「アリスの情報を事細かにつかむことにより、私自身のこともわかるかもしれません。だって余所者ということで私たちは同一の性質を持っているんですから。なのでこう、私なりの『時間の過ごし方』なんですよね。きっと私の『ゲーム』はこれです」
無駄に説得力のあるワードを散りばめて説得を試みる。
「……」
素晴らしいロールプレイによるプラス補正で言いくるめ自動成功(はぁと)。

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