ありすと!

次はハートの城に向かうらしい。
「……最大の難所ですね」
そうつぶやくと、アリスが怪訝そうに「どうして?」と聞いてくる。
「白い宰相ウサギさんに殺されないようにしないといけませんので」
「ペーターはそんな恐い人じゃないと思うけど。言動はおかしいけどね」
「……」
――ペーターさんが怖い人じゃなくなるのはあなたの前だけですよ、アリス。
けれどそんなことを言って話がややこしくなるのが嫌なので、話を強制終了する。
「ビバ様に一番に会うのが得策ですね。どこにいらっしゃるか分かりますか?」
「どうかしら、執務室にいたら良いんだけど」
着いたらメイドさんに聞いてみるわね、とアリスが言ってくれた。
本当にアリスは優しくて気が利いていて、理想の女の子である。
――あーーーー可愛いです天才的に可愛いです大好き。

近くまで来るとそのメルヘン……というよりか、少し過剰装飾なお城はとても大きかった。
――建物が一番横に広いのはここですもんね。
時計塔は縦長、遊園地はアトラクションが散らばっている、帽子屋屋敷はいい勝負だが若干こっちのほうが大きかった……気がする(PSPアリスシリーズの個人的なイメージより)。
――ぬかりました、画面を測らなければいけませんでしたね画面を!!! 
――また実地で測ってみなければいけませんね!
この世界、測量系の道具ってあるんですかね? 
いざとなればこの足で歩くので良いのですけれど。リスペクト伊能忠敬ということで。
迷路の生垣をアリスと頑張って通り抜け、お城の内部に入る。
入り口近くで掃除をしていたメイドさんが、アリスに気づいて会釈をした。
「ビバルディは今執務室かしら?」
「はい、陛下は今お仕事の時間帯です」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる。
メイドさんの顔は私にはまだ判別できないみたいでちょっと残念。
「ご案内いたしましょうか?」
アリスは少し考えてから、
「お願いできる?」
「かしこまりました」
メイドさんは私たちを先導して歩き始めた。
わくわく、わくわく、わくわく!!!
「ちょっとゆり、歩きながら揺れるのやめてよ。目が回っちゃうわ」
「わくわく〜〜〜!!!」
「止まりなさいってば!」

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