ありすと!

「それにしてもあんた、面白い顔してる。なんていうの? のっぺり?」
「あっはっはっはっは! 私からすると皆さんの方が面白い顔ですけどね!!!」
アジアンフェイスで悪かったですね。悪かったですね!
べ、べつに羨ましくなんかないんですからッ! アジアンビューティーは美しいですから!
「ボリスは猫ですか?」
「猫だよ。ネズミにでも見えた?」
「どこから見てもパンクでもふもふでピンクな猫に見えました」
ボリスの尻尾の揺れが激しくなった。ちゃり。
「それなんだかすごく変な猫みたいだわ」
ちゃりん。
「酷い! 猫は猫でもチェシャ猫なの、特別なの!」
ちゃりん、ちゃりりん!
「はいはい」
――もう駄目だ、抑えきれないです……。
「しっぽ……」
私はふらふらと、さっきから微かにちゃりちゃりと音を立てるピンクの物体に近づいていった。
「ちゃりんちゃりんの……ふわふわしっぽ……きらきらおさかな……」
ぱたぱたと揺れるピンクの先についた可愛いおさかなを捕まえようと、手を伸ばす。
――あっ、左に行っちゃいました。
ぱたんぱたん。
――次は右……左……右……。
素敵な音楽の中、きらきらおさかなをゆっくりと追いかけ続ける至福の時であった。
「ね、ねぇアリス。大丈夫なのこの子」
「大丈夫……だと思いたいんだけど……」
――わぁ〜い、幸せです〜〜。
「きっと慣れない生活で癒しを求めているのよ」
あ、ボリス、面白くなってきたんですね。尻尾の動きが突然早く……っ!
ううう! うう! 捕まえて見せますから! この天才ゆり様の本気を見るが良いです!

[ 17/39 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -