ありすと!

ベリープリティーアリスとの待ち合わせの一時間帯前に着いて、街を観察しつつ彼女を待つ、か弱くいたいけな余所者。名はゆり。
元の世界では相棒(PSP)を常に持ち歩き、アリスが絡むと理性が吹っ飛ぶちょっと危ない系ゲームオタクをやっていた。誰のお陰かはわからないが、憧れのワンダーワールドに余所者として潜り込んでしまえたのだが、どう考えても乙女ゲームの主人公になれない(なりたくない)ので主人公の友人ポジションを狙おうとするも、彼女のことが好きすぎて暴走気味だなとは自分でもわかっていますでもどっちかっていうとアリスが可愛すぎるのが駄目だと思いますしアリスってなんであんな最高に可愛いんでしょうか宇宙一可愛いが似合う少女だと確信しているしこの「可愛い」という日本語の範囲を超えた魅力が文字数。
以上、これまでのあらすじ。最近流行りの暇自語に乗ってみました。

時計塔広場でアリスと合流し、とてとてと歩き出す。
「最初は遊園地ですか?」
「ええ、一番取っつきやすいかと思って」
「確かにその通りですね、物凄く比較的ですが役持ちに殺される危険は少な」
――あなや! うっかり口が滑るところであり申した! てゆかもう滑ってしまった気がします!
「……ねぇ、やっぱり色々知っているんじゃないの?」
「アリス、世の中には知らなくてもよい事がたくさんあるのですよ」
ほんと口は災いの門ですから。皆様も気を付けるように。お口ちゃーーっく!!!
嘘をつきながらの雑談が大変なことを頭からつま先まで実感しております。
とてとてとしばらく歩きました。
けれど決して遠くはないので、なるほど、通い妻もそこまで大変ではなさそうです。
街の雰囲気が少しずつ変わり、ようやく見えてきたのが……
「遊園地……」
黄色を貴重とした、遊園地。
「……」
遊園地到着!!! 聞きなれたメロディー!!! 遊園地!!! 語彙力がない!!! 素晴らしい!!!
相棒(PSP)のスピーカーから流れてきていたちゃーらららーが今園内のスピーカーから直接私の鼓膜へ波となってアタックしております。幸せの極み。
「あれ、アリス。また戻ってきたの? なになに、ここに滞在する事にした?」
――ファー!!! ボリス!!!
この「ファー」は驚きの言葉ともふもふのファーをかけており……面白くない? 面白いと思えば何事も面白いのです。思い込みが大事です。
思った以上にモフモフがもふもふしている。ピンクピンクもっふもっふ。
これは仲良くなってからあのもふもふにほおずりさせてもらうしかありません!
「そうじゃなくて……」
アリスが私を前に押し出す
「ん? この子は? 友達?」
「友達……かどうかは分からないけれど、知り合いよ」
――アリスの友人ポジ狙いの雑魚キャラです。
と心の中で訂正しておく。
「初めまして、ゆりと申します」
「ゆりも余所者なんですって」
「え、そうなの?」
「はい」
「へー、余所者が二人かー。時計屋さん、怒ってるだろうね」
ボリスさんがこちらにすすっと寄ってくる。流石猫、動きのスピードが何となく速い。
「ボリス=エレイ。よろしく」
「こちらこそ、ボリスさん」
「ボリスでいいよ。俺もゆりって呼ぶし」
「はい、ボリス。仲良くして下さい」
「もっちろん!」
ボリスの尻尾がゆらりゆらりと揺れた。
――左右にゆっくりと揺れるのは、リラックスしている時か興味深いものを見つめている時……。
今は明らかに後者である。うん、猫の飼い方の本でも買えばボリス攻略(友情ルート)できそうですね。
「おっさんにはまだ会ってない? じゃあ紹介したげる。おいでよ」
ボリスは私の手をひいて、というか掴んで遊園地の奥へと進んでいく。
――あったかい! 生きてます! ボリス生きてます! 凄い! すごおおおおおおおい!!!
もうさっきから興奮しっぱなしでカロリー消費がすごいです! 痩せてるかもしれません!

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