待望の出会い

「遅いですね。あいさつ回りを最後にされてるんでしょうか」
不憫なユリウス……と鳴きまねをすると頭をはたかれた。
敬称はいらないとおっしゃっていただいたので晴れて呼び捨てになりました。一応ご報告。
「ああ、アリスに会える日が楽しみです」
「気色の悪い顔をするな。さっさと食べろ」
今、自分でもわかるくらい破顔しているが、気色悪いとは失敬な。
「うへへへいやぁ、アリスが可愛いから……」
アリス可愛い〜可愛い〜〜ととんだCDのようにつぶやく私。壊れかけのれいでぃおの方が感じは出るけど残念ながら私はCDすら衰退しかけている現代人。ラジオなんて持って……持ってましたけどね! FM楽しいですよね!
「可愛げのない性格だったように思うが」
「何言ってるんですかそこが最大の萌えポイントですよ!」
だんっっと机をたたく。私のおめめはさぞかし輝いていることだろう。
ユリウスがまた始まったか、とため息をついた。
そう、まだこの世界に来て少ししか経っていないのに、ユリウスには私のアリス語りを何回も聞いていただき……。申し訳ないとは思っていますが後悔はしていません!
「ふわふわのエプロンドレスに身を包んだ金髪の少女が根暗で後ろ向きな性格してるんですよ!? それに自分でそのことをきちんと理解しているんですよ!? 可愛いけど語彙力は溶けない! むしろ言葉で溢れる!! 身の程をわきまえすぎるほどにわきまえたアリスがたまらなくいじらしくて云々」
とつとつと語りだす私をユリウスは例のごとく無視する。別にいいんですよ、しゃべりたいからしゃべってるだけですので。
「本当によく知っているな」
話がひと段落すると、ユリウスが呆れ顔でそう言った。
「アリスを愛し、アリスに愛されたプレイヤーですから」
「はぁ?」
なんだか我ながら素晴らしいフレーズになってしまった。もうこれは、やるしかない。
私はすっと立ち上がる。
「くーーうぜんぜつごのーーーぉお!!!」
「!?」
「超絶天才調査員! アリスを愛し、アリスに愛される予定のプレイヤー!
徹底論破地獄絵図! 天上天下すべてアリス!!」
やりたいときにやりたいことを。思いついたら即行動。
「身長160p、体重極秘事項! 長所アリスが好きなところ、短所アリスが好きすぎるところ!!
残念ながら今の財布はユリウスです! ワンダーワールドに舞い降りたもう一人の余所者!! そう、我こそは〜〜!!!!!
サンシャイーーーーンい、け、違いますね、ストレンジャーゆりですね。もう一回最初からよろしいでしょうか?」
「……」
ユリウスの視線が痛い。
私がにこっと笑って、いぇーい、とピースを作ると、ユリウスは盛大にため息をついた。
その時、かつかつ、と部屋の外から音が聞こえた。
「誰か来るな」
どうやら誰かが塔の階段を登ってきているようだ。

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