親愛を深めましょう

しばらくエースとユリウスさんと共に雑談に興じておりました。
ふと気づいたようにエースさんが、
「ところで、君は何しにユリウスの所まで来たんだい? その様子から見て、お客さんじゃなさそうだし」
「これからユリウスさんのお世話になります」
エースの顔が固まった。大きく見開かれる瞳。
――あ、地雷……?
一瞬ドキッとする私だが、エースは驚いた表情のままユリウスさんのおでこに手を当てた。
「ええ……っ!? ユ、ユリウス、熱でもあるのか? 風邪か?」
「やめろ」
エースの手を振り払うユリウスさん。
――ああ、エスユリ潤いそうですね……。
ご、ごほん、いえいえ、なんでもありません。
何でもありませんってば!
「だって、あのユリウスだぜ? 引きこもりすぎてカビでも生えそうなユリウスが顔なしを、それも女の子を滞在させるなんて!」
「……」
うーん、とうなるエースと、何を言うのにも疲れたような表情のユリウスさん。
助け舟……になっているかどうかはわからないが、一応会話に参加してみた。
「ユリウスさんは引きこもりでも、お優しいのです」
「だろうな、じゃなきゃ俺なんかの上司やってくれてないもんな。ははっ」
「私とエースではちょっと違うと思いますが」
ユリウスさんとエースの深みのある関係と一緒にされるのはあまりにおこがましい。
ユリウスさんは深くため息をついた。
「……エース、こいつは余所者だぞ」
「ええっ、そうなのか!?」
「まぁ、はい」
「言ってくれれば良いじゃないか、薄情だなぁ」
そう言うのを薄情と言うのでしょうか。
まぁ、エースが薄情だというのなら薄情なのでしょう。
「それはすみませんでした。とにかくここでお世話になりますのでよろしくお願いします」
「ああ、根暗なユリウスに友達ができて、俺も嬉しいぜ!」
なんとも爽やかな笑顔です。怖い。
にっこにっこ笑っていらっしゃるエースは、本当に恐ろしいです。
エースさんは私に右手を差し出す。
「改めてよろしくな!」
「はい、よろしくお願いします。私はゆりと申します」
私もぎゅっと握手をする。
「ゆり、ね。うん、いい名前だな! ユリウスをよろしく頼むぜ〜」
エースはそう言って時計塔を後にした。
「嵐のような人ですね……」
「いい迷惑という点ではお前もなかなかだがな」
「きゃー、耳が痛いですー!!」
自覚はあるのだ、自覚は。
「けどこればっかりはやめられないんですよ!」
知ることの快感は何にも代えられない。
ぎゃふぎゃふと叫ぶ私を見て、ユリウスさんは再度ため息をついた。

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