習得

銃を持つ。
――受け流す。
銃から溢れてくる光景や感情を、いつもはきちんと受け止めていた。
でも今回は、それをしなかった。
――これは、私じゃない。私であるはずがない。
「私は……」
撃つ。
「私は……」
続けて撃つ。撃つ。
光景に頭を侵食されそうになるが、必死に自分を保つ。
「負けない!」
撃つ!

「ういちゃん、バサラの力使えるようになったんだって?」
「えへへ」
――なんとか扱えるくらいにはなった。
なんとか、ほんとうになんとかだが私は何とか銃を扱えるようになった。
だが、まだ孫市のように何種類も出せるわけではなく、一番小さなものだけではある。
「やるじゃないか」
朝礼が始まる前、みんなが次々に声をかけてくれる。
それが嬉しくもあり、もっと頑張らなきゃという思いにもなった。
孫市が入ってくる。
「さて、すでに聞き及んでいると思うが、柴田から依頼が来た」
部屋全体に緊張が走る。
「我らは交渉の結果、次に起こるであろう戦に向け手を貸すこととなった。かなり大規模なものになることが予測されている。雑賀としても全力を尽くして挑むつもりだ」
「今回、我らは自らの意思で動く。戦況によっては撤退も在り得ることを覚えておくように」
孫市が私を見る。
「お前は、鶴首の隊についてもらう。いいな」
「はい! 精一杯頑張ります!」
その後こまごまとしたことを伝えて、朝礼は解散となった。

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