習得

あれからもう数えきれないほど私は力の訓練をしている。
「っう、う」
弾を打ち込むたびに、目の前で「感情」がはじける。
打ち込む弾が一度に10を超えるとかなり精神的にくる。
精神が極限まで削られると、体までもが引きずられて私は地に膝をつく。
――頑張らなくちゃ……。
そう言って立ち上がるも、正直言ってこのままでは実戦に使えそうにない。
私は再び焦っていた。
――そろそろ初陣もいいかも、と言われているし
せっかく皆さんが
――正直、これは根性論でどうにかなる問題じゃない気がする。
私がこの力を使うには、何か……そう、何かが必要だ。

自分でも色々考えたが、結局孫市に聞くのが一番と思い直して相談中。
「どう付き合っていくか、という話だな」
一通り話を聞いた彼女は少し悩んだ後、そう言った。
「……どう、とは?」
「その、銃からの感情にどのように向き合うかだ。今の話を聞く限りお前はきっと、真正面からそれに挑んでいる」
言われてみればそうかもしれない。
――私はみえる景色を、受け止めようとしてた。感情を理解しようとしていた。
あの光景の中で、自分の中でとは違う感情を持つ……そう、彼女の仮説が正しいなら彼女自身を理解しようとしていた。
本心から理解できて、そして私自身が「孫市」となって撃つ。
それこそが銃を使いこなす唯一の道だと思い込んでいた。
「受け流せばいい。何も、他人の感情をお前が負う必要はない」
――でも、それって逃げてるみたい……。
私が理解できれば、あの感情を拒絶しなければ何も問題はないはずなのに。
それができないから……。
目を伏せる私の頭に、孫市が軽く手を乗せた。
「決めるのはお前だ」
「……はい」
私は、しばらく目を伏せたままでいた。

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