習得

戦のない間は自主修練が主となる。
「必要なことはもう自分でわかってるだろ」、ということらしい。確かに、足りないものが何かはわかっている。
バサラの力だ。
聞いたところによると力による特殊能力は人によって違うらしい。
――なんでも刀を6本も持つとか、浮くとか、地面を氷にして滑るだとか……。
でも、私が見たことのあるのは孫市のみ。
自然と、孫市の力を真似ようとしてしまうのは許してほしいものだ。
――孫市様みたいな……かっこいい技……。
孫市に心を鍛えろ、と言われてから色々試してはみているのだが、自分で考えつく方法はかなり出尽くした状態なのであった。
「銃……」
つぶやいてみる。
当然だが特に何も起きない。
「銃出ろ〜」
半分自棄で、手を上に掲げる。
「銃出ろ!」
ひときわ大きく叫んだ途端。
手にずしりと重量感が。ゆっくりと手に目をやると――
――銃。
そこに存在していたのは銃。見覚えがある。孫市の使っている一番小さな銃だ。
「え」
二つの銃口、特徴的な突起。間違いない、孫市のものだ。
「これって……」
もっとよく見ようと手を動かすと、焦りからか銃を取り落としてしまう。
「あっ、ちょっ」
落ちた銃は、文字通り『地面へと沈んで』いった。
「えっえっ」
膝をつき地面を手でたたいてみるが、地面は依然として固いままで、先ほど銃が吸い込まれた形跡はまるでなかった。
「えぇえ!?!?」
――どういうこと……?
私はその場で呆然とするしかできなかった。

[ 34/40 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -