特別

その夜、長いズボンをはいている上からとはいえかなり傷を負ってしまった足を冷水で冷やす。じんじんとした痛みは消えないまま、真白との自主練へと急ぐ。
「うい、今日はいつにも増して傷だらけじゃねぇか」
「ああ、うん。ちょっと油断しちゃって」
少し会話した後は、二人とも無言で鍛錬を行う。
私は、今日は軽めに。明日の朝早く起きて、勉強する予定があるからだ。
ひと段落終わった後、真白が声をかけてきた。
「……足、やられてるな? 見せろよ」
「え、いいよ。ちゃんと冷やしたし大丈夫」
「いいから」
そう言って真白は、かがんで私のズボンの裾をまくり上げた。
特に骨に問題はないけど、と真白はつぶやいた。
ふさがった傷口をそっと撫でられて、彼女の心配が伝わってきた。
「大したことじゃないよ、いつもこんなだし」
「とにかく気をつけろよ、あんまり無茶はするな」
「うん、頑張る」
真白は何か言いたげにちらりとわたしを見て、裾を元に戻したあと訓練に戻った。
お先に、と中庭を離れると訓練の間消えていた足の痛みが再び主張を始めた。

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