特別

今日は初めての鍛錬の日。
ドキドキしながら指定された場所へと向かう。
「はじめまして、ういです。よろしくお願いします!」
「よしよし、元気な声だ。じゃあさっそく始めて行こうねぇ」
「はい!」
こぢんまりとした方の中庭には私と蛍さんのみ。どうやら個別指導ということらしい。
――そうだよね、私全く何も知らないし。
今まで見てきた雑賀の戦いは素人目で見ても洗練されたものであった。
体育の成績は平均であったが、なにせ戦いなどやったことが無い。
――いったいどんなことをさせられちゃうんだろ……!?
と、内心少し好奇心を抱きながらここに来たわけなのだが。
「じゃぁ、取り敢えずそこで」
意外にも、普通の体育の授業の補強運動のようなものを延々とさせられただけであった。
いや、だけ、と表現するのはかなり語弊があった。
「あ……っっ!!」
自身の体重に耐えきれなくて、体が地へと落下する。土が顎についてざらざらする。
私は人生において、こんな腕立てをしたことが無い。
――これも一種の、人生初の体験……!
「うい! もっと低く! 低く!」
「は、はいっ」
それは腕立てだけにとどまらず、腹筋、背筋、その他さまざまなことをした。
「うっ、ごほ、ごほ」
「お疲れ、今日は初日だからこのくらいかね」
終わった時には、立っているのがやっとだった。

何とかありがとうございましたを告げて、自室へと帰る。
入り口で躓き畳にぶっ倒れ、そのまま起き上がれずに意識を失った。


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