「ニコラス・フラメル・・?」 クリスマスも終わり新学期が始まるまでもう少しと迫ったある日の午後、ロン聞かれたのは人の名前だった。 「なにか知らないかな?」 「ごめんなさい、何も知らないけど・・どうして急に?」 「実は・・・」 ロンの話によると三頭犬の関係でハグリットに聞いた時に、ハグリットがうっかり漏らしてしまった名前らしく、あの扉と関係があるとみて調べているらしい。 因みにあの三頭犬にはフラッフィーと言う名前が付いているとも教えてくれた。 リディナはまだ三人がその事を調べているのに驚いたが、それよりも今、ロンが一人でいるのが気になった。 「そう言えば、ハリーは一緒じゃないの?」 「それが・・・」 ロンが歯切れ悪そうに言った。 ここ最近、ハリーとロンが一緒にいないことの方が多いのはリディナも気がついていた。 しかもハリーに至ってはどこか元気がなく、食事もあまりとらずに常に上の空の様な状態だった。 「ハリーは鏡の虜なんだ・・」 ロンは最近のハリーの異変の原因を教えてくれた。 いないはずの家族が移る鏡を見つけ、夜な夜な部屋を抜け出しては鏡に会いに行っているらしい。 話を聞いているうちにリディナにも思い当たるものがあった。 「ロンも見たの、鏡?」 「・・え?あぁ見たけど、どうしたの?」 僕は監督生になってクィディッチの優勝カップを持っている自分がいた、とロンは言った。 ロンは鏡を見ても魅入られなかったらしく、リディナは少し安心した。 「ハリーはきっと大丈夫・・兎に角、私も何か見つけたら知らせるね」 「ありがとリディナ、じゃあ僕も少し探してみる。 なにもしてないと休み明けにハーマイオニーに怒られちゃうし」 ロンは図書館に行くと言ってリディナと別れた。 勿論だったがハーマイオニーも関わっていることにリディナは苦笑いた。 「なにも・・・起きないといいな・・・」 新学期が始まる頃にはハリーも元気を取り戻した。 どうやら鏡の事は決着がついたらしく、リディナも一安心だった。 しかし、それとは別にリディナは少し気がかりなことがあった。 クリスマス以降スネイプの様子が少しおかしいのだ。 常に緊張を纏ってるような、ピリピリした雰囲気を醸し出している。 リディナには気取られないようにと本人は思っているらしいが周囲に対する態度でもうバレバレなのである。 「父さま、何かありました?」 遂に我慢できなくなったリディナはスネイプに話しかけた。 私室で話かけたからかスネイプは一度大きくため息を這い出すと、眉間を抑えてから珍しく弱音を吐いた。 「すまないな・・・」 何のことを言っているのかリディナも察しはつくが、想像していた以上に精神的に疲弊したスネイプをいて居た堪れない気持ちになった。 「父さま無理しないで、私は大丈夫だから」 「リディナ・・・」 リディナの方からスネイプに抱き着くと、ローブからふわりと薬品の香りがした。 抱き着いてきたリディナを優しく受け入れ頭を優しく撫でた。 長らくニコラス・フラメルのことを調べていた三人には朗報があった。 ネビルがマルフォイに呪文を仕掛けられた夜、偶然にも蛙チョコレートのおまけカードの中からその名前を発見したのだ。 詳しい話は聞かなかったがどうやら錬金術師らしい。 謎の解明に三人はひと時の喜びを味わった。 しかし、それをすぐに打ち消すようなことが起こった。 「大変だ!」 そう寮に駆け込んできたのはクィディッチの練習を終えたハリーだった。 「今度のクィディッチの審判をスネイプがやるらしい」 その言葉はリディナにとっても驚きだった。 最近は年度末も近づきテストの勉強の為、接触していたかったのでリディナにも寝耳に水だったのだ。 ロンを見れば「終わりだ・・」と嘆いているし、ハーマイオニーも何やら難しい顔で考え込んでしまった。 二人はハリーに出場を辞退するように説得しているがリディナは複雑な気持ちだった。 スネイプが審判を名乗り出たのはきっとクィレルを警戒する為だろう。 しかし、ハリーら三人からは疑われており、とても良い状況とは言えない。 クィレルがスネイプに攻撃を仕掛ける恐れもあるのでその事もリディナを悩ませた。 (どうしよう・・) (みんなを守りたいけど、私にできるの?) |